ニュース
火力・風力・地熱発電を後押し、政府が環境アセスメントを簡素化へ:法制度・規制
原子力に依存しないエネルギー供給体制を確立するため、今後の増強が不可欠な火力・風力・地熱発電所の設置手続きが大幅に簡素化される見通しだ。経済産業省と環境省が合同で、発電所の新設やリプレースに伴う環境アセスメントの簡素化・迅速化の具体策を年内にとりまとめる。
政府が2030年のエネルギー供給体制の構築に向けて発表した「革新的エネルギー・環境戦略」では、再生可能エネルギーの拡大と合わせて、火力発電の高度利用が重要な施策のひとつとして盛り込まれている。原子力に依存しない「ゼロシナリオ」を実現するためには、火力発電の比率を2010年の63%から65%に高める必要があるからだ(図1)。
火力発電の場合はCO2の排出が問題になる。その対策として、老朽化した火力発電所のリプレース(設備更新)や、エネルギー効率の高いLNG(液化天然ガス)を使った火力発電所の新設などを早急に進めていかなくてはならない。ただし発電所の新設・リプレースにあたっては、「環境影響評価法」に基づいたアセスメント(影響評価)が義務付けられており、従来は全体の手続きが完了するまでに3年程度を要している。
このアセスメントの内容やプロセスを簡素化して、1年程度に短縮できるようにする。合わせて再生可能エネルギーの中でもCO2の排出とは別の観点で環境への影響が指摘されている風力発電と地熱発電のアセスメントも1年半程度に短縮する方針だ。
関連記事
- 原子力に依存しない「革新的エネルギー・環境戦略」が決まる
2030年に向けたエネルギー供給体制を構築へ - 火力発電が競争入札に、2017年度の調達分から
電力会社の発電コスト低下へ - 天然ガス発電所で110MW、新電力の日本テクノが千葉で運転開始
14基のガスエンジンをフル稼働 - 風力発電が太陽光に続く、小型システムは企業や家庭にも
解説/再生可能エネルギーの固定価格買取制度(5) - 地熱発電の巨大な潜在力、新たに「温泉発電」も広がる
解説/再生可能エネルギーの固定価格買取制度(7)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.