医大付属の11拠点の電力消費を一括管理、機器に優先度を付けて制御:エネルギー管理
日本医科大学は関東近県に保有する付属病院や大学、大学院、専門学校の校舎など11拠点の電力を一括で管理するシステムを導入した。電気で動く機器を4段階に優先付けして、その優先順位に従って、消費電力を制御する。
このシステムの構築は日本ユニシスが中心になって、東亜建設工業、日本バイオマスエネルギーの協力を得て実現した。日本ユニシスは電力管理システムの導入とサーバー側の管理ソフトウェアの構築、運用を担当する。東亜建設工業は各種電気工事、配管工事を担当し、日本バイオマスエネルギーは拠点ごとに必要に応じて契約電力を見直すという形で協力した。
今回のシステムは「UNIBEMS」と呼ぶ。日本医科大学本部のほか、附属病院、検診医療センター、丸山記念研究棟、図書館、大学院校舎(ここまで東京都文京区)、多摩永山病院(東京都多摩市)、千葉北総病院(千葉県印西市)、武蔵小杉病院(神奈川県川崎市)、日本獣医生命科学大学の校舎(東京都武蔵野市)、看護専門学校の校舎(千葉県印西市)の計11拠点の電力使用量を監視する。11拠点合計の電力使用量のほか、拠点ごとの電力使用量を確認できる。
節電するといっても、医療施設では絶対に止められない電気機器がある。今は使っていないけど、緊急時に備えていつでも使えるようにしておきたいという機器も少なくない。このような要求を無視して電力管理システムを導入したら、医療現場が混乱し、大パニックに陥ることははっきりしている。
そこで今回の「UNIBEMS」では、施設にある電気機器に4段階の優先順位を付け、その優先順位を考慮しながら、必要のない空調や照明を消すなどの機能で節電を図る。一般的なBEMSと同様にUNIBEMSも、目標とする消費電力の値を設定できる。この値を超えそうになると優先順位の低い機器から制御を始める。
日本医科大学は電力コスト削減を大きな課題と考えていたが、医療機関では簡単には節電できない。そこでUNIBEMSを導入した。UNIBEMSの制御対象となる11の施設は、日本医科大学が保有する施設の中でも節電の余地が大きいと予測できたところを選んだという。日本医科大学はUNIBEMSの稼働開始によって、11拠点の電力使用量を年間で7%〜10%節約できると見込んでいる。
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