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石炭でもクリーンエネルギー、CO2を回収できる火力発電所の建設が始まる:電力供給サービス
火力発電用の燃料の中で最も安いのは石炭だが、CO2の排出量が多いという難点がある。最近は石炭を使った火力発電でもCO2の排出量を抑える「クリーンコール技術」の開発が進んできた。酸素を使って石炭をガスにする新方式の火力発電所の建設が広島県で始まった。
新しいクリーンコール技術のひとつに「酸素吹石炭ガス化複合発電」という難しい呼び名の発電方式がある。酸素を使って石炭をガスにしてから燃焼させることによって、発電効率が高くなり、さらにCO2の排出量も減らせる“一挙両得”の技術である。
この新方式による火力発電所の建設が、広島県にある中国電力の大崎発電所の構内で3月1日に始まった(図1)。大崎発電所は2000年に運転を開始した比較的新しい設備で、石炭を使った火力発電で25万kWの発電能力がある。
新方式が従来の発電設備と違う点は2つある。石炭をガスに変換してから燃焼させることに加えて、燃焼によって発生するガスからCO2を分離して回収することが可能になる(図2)。この設備を開発した日立製作所によると、標準的な石炭火力発電と比べてCO2の排出量が約17%少なくなる。
発電所の建設が完了して実証試験を開始できるのは4年後の2017年3月の予定である。発電能力は16.6万kWを見込んでいる。中国電力と電源開発(J-POWER)が2009年に共同で設立した合弁会社の「大崎クールジェン」が建設と実証試験を担当する。事業費が約900億円にのぼる大型プロジェクトで、その成果に注目が集まる。
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