今夏の最大電力は71万kW増加、東京電力が2013年度の供給計画:電力供給サービス
東京電力が2013年度の供給計画を公表した。景気と節電の見通しをもとに、夏の電力需要のピークは前年よりも71万kW増加すると予測している。一方で年間の販売量は微減を見込む。発電設備の供給力はほとんど変わらず、需要のピークが増大しても対応できると想定しているようだ。
電力会社は毎年3月末までに、新年度の電力需要と供給力の見通しを含めた供給計画を経済産業大臣に届け出ることになっている。東京電力は2013年度の供給計画の中で電力需要の見通しを明らかにしたものの、供給力の見通しは記載しなかった。1年前には電力需要と供給力ともに「未定」として届け出ていた。
2年ぶりに公表した電力需要の見通しによると、2013年度の夏の最大電力(3日平均)は4982万kWになり、前年を71万kW上回ると予測している(図1)。これは火力発電所の1基分を超える電力に相当する。
最大需要の増加を見込む要因として、景気の回復と前年度並みの節電の2つを挙げている。最近は企業を中心にデマンドレスポンスなどの新しいピーク抑制策も広がってきているが、一方で節電意欲の減少も指摘され始めた。東京電力は中長期的にも節電効果は伸びないと想定している。
とはいえ電気料金の値上げによって利用者の意識は確実に高まっている。おそらく東京電力の予測ほど今夏の最大電力が増えることはないだろう。年間を通した販売電力量はわずかな減少を見込んでいるが、これも想定以上に減る可能性が大きい。
一方、供給力の見通しは公表せず、主要な発電設備の開発・廃止計画だけを届け出た(図2)。これを見ると、昨夏から今夏のあいだに新たに増える発電設備は、2013年2月に営業運転を開始した川崎火力発電所2号系列の50万kW(3基のうち1基)だけである。
しかも2か所の緊急設置電源を6月までに廃止する計画で、合計すると44万kWの減少になる。従って供給力は前年とほとんど変わらない状況だ。それでも最大電力が71万kW増えても対応できると想定しているわけで、現行の供給力で十分な余裕があると考えてよさそうだ。
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