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神奈川県全体で夏の最大電力を10.5%削減へ、節電意欲の低下に警鐘スマートシティ

エネルギー改革に先進的に取り組む神奈川県が今夏の電力需給対策を発表した。昨夏の最大電力が前年よりも増えたことを懸念して、今夏の県全体の削減目標を「10.5%以上」に設定した。HEMSやBEMS、太陽光発電やガスコージェネなどの節電・発電システムの普及も促す。

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 神奈川県は2020年度に県内の電力消費量を2009年度比で20%以上削減する「かながわスマートエネルギー構想」を掲げている。その中間目標として2014年度に4%の削減率を目指しているが、2011年度と2012年度は達成できず、2013年度も夏季の状況によっては達成が難しい。

 そこで改めて7月〜9月の3か月間の節電目標を設定した。特に夏季は昼間の電力需要のピークを抑制することが重要になるため、最大電力を2010年度比で10.5%以上削減する方針だ。県内の家庭と事業所に対して節電対策の実施と自家発電設備の導入を促進する。

 過去3年間の神奈川県全体の電力使用状況を見ると、最大電力は2010年度から2011年度に大幅に低下したものの、2012年度は上昇に転じた(図1)。特に夏季の7月〜9月の増加が目立つ。


図1 神奈川県全体の年度別・月別の最大電力。出典:神奈川県産業労働局

 2013年度の目標値に設定した「10.5%以上」の削減率は、2012年度の実績(14.4%)を下回る保守的な数字である。東京電力が今夏の需給予測に盛り込んだ「定着した節電」による削減率が10.5%で、最低でもその数値をクリアする必要性を示した。

 神奈川県が今夏の電力需給状況を懸念する背景には、震災後に高まった節電の意識が年々薄れてきていることがある。1年間を通した電力消費量を見ても、2012年度は2011年度と比べてわずかながら増加した(図2)。このペースのままでは2014年度の中間目標は達成できなくなる。


図2 神奈川県全体の年度別・月別の電力消費量。出典:神奈川県産業労働局

 具体的な対策として、第1に県が実施しているHEMS/BEMS/FEMS(家庭/ビル/工場向けエネルギー管理システム)の補助金制度の活用を促進する。第2に自家発電設備として太陽光発電やガスコージェネレーションの導入支援策を家庭と事業所の双方に向けて展開する。加えて県の庁舎で率先して節電に取り組み、目標値を上回る15%以上の削減率を実現させる。

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