高圧一括受電に向くスマートメーター、専用機も登場:エネルギー管理
高圧一括受電はマンションへの普及が見込まれている。富士経済の試算によれば2020年には国内で100万を超えるマンション世帯に普及するという。富士電機はこの市場を狙う専用のスマートメーターを製品化した。
マンションの電気料金を引き下げる手法として導入が進む高圧一括受電。企業向けの料金プランを導入することで、基本料金は高額になるものの、従量料金が3割程度安価になることを利用した手法だ。両方の料金の効果を合算すると5〜15%、支払う電気料金を節減できる。
電力会社からマンション敷地内の受変電設備まで高圧で電力を供給し、ここで低圧に変換、各戸に供給するという仕組みだ。このとき、電力量計をスマートメーター(次世代電力量計)に置き換えることが多い。なぜか。それは、高圧一括受電に対応する電力会社がいわゆる9電力ではなく、PPS(特定規模電気事業者)であるからだ。PPSはほとんどの場合、消費電力量を直接検針する人員を配置していない。そこで、通信機能を利用して消費電力量を把握可能なスマートメーターを使う。
高圧一括受電専用のスマートメーター
スマートメーター普及を前に、メーカーの参入も多い。富士電機とGE富士電機メーターは、高圧一括受電マンションやオフィスビル向けに特化したスマートメーターを製品化した(図1)。2013年8月に発売し、年間数万台の出荷を見込む。
スマートメーター本体の他、柱上などに設置し複数のスマートメーターからの送信情報をまとめるデータ集約機器(集約器)やシステムソフトウェアを合わせて提供可能だ。高圧一括受電事業者側のシステム開発コストを削減でき、システム導入に要する期間を短縮できるという。
スマートメーターの測定内容は順潮流の消費電力と、時間情報である。一般家庭向けのスマートメーターは系統に電力が流れ出す逆潮流を測定する機能を備えたものもあるが、高圧一括受電ではそのような要望が少ないため、順潮流のみを測定する。時間情報を計測するのはなぜだろうか。これは停電や通信障害があった場合でも測定データに不整合が残らないようにするためだ。なお、スマートメーターが備える無線通信方式はZigBee(2.4GHz帯)である。
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