福島で37棟からなるゼロエネルギー住宅街が販売、蓄電池も14棟に:スマートハウス
年間を通じたエネルギー使用量が正味ゼロとなる住宅。夢物語にも聞こえるが、積水ハウスによれば販売する約半数の新築戸建て住宅が該当するのだという。太陽光発電システムと燃料電池で実現している。2013年8月には福島市で37棟からなる街をこの住宅で固める。4割弱の家はさらに蓄電池も備える。
積水ハウスは2013年8月、福島市でネットゼロエネルギー住宅「グリーンファースト ゼロ」の販売を開始した。
ネットゼロエネルギー住宅とは、一次エネルギーの消費量が正味(ネット)で0となる住宅。実用化で欧州が先行するものの、日本政府も2020年には新築住宅の標準とする目標を掲げている。
エネルギー消費量を0にする仕組みは3つある。1つは断熱だ。熱を伝えにくいアルゴンガスを封入した複層ガラスと高断熱サッシを利用することで、戸建て住宅最大の弱点である窓からの熱移動を抑えた。2つ目は標準のエアコンを高効率化し、LED照明を用いることだ。消費電力を削減できる。3つ目は創エネだ。瓦型の太陽電池モジュールを使った太陽光発電システムと燃料電池(エネファーム)を組み合わせた。これらの取り組みにより経済的な効果として、1世帯当たりの光熱費を30万円削減可能としている。
積水ハウスは今回、ネットゼロエネルギー住宅をばらばらに販売するのではなく、37棟が1つの街を作るようにした。「スマートコモンステージ森合」(福島市森合)である(図1)。
37棟をネットゼロエネルギーとすることで、街全体で年間138MWhの余剰電力が生まれ、街の外部に38世帯分の年間消費電力に相当する電力量を供給できるという。
37棟のうち、14棟はさらに蓄電池を標準で備える「グリーンファースト ハイブリッドゼロ」とした(図2)。標準の太陽光発電システムと燃料電池の他に、蓄電池を備えるため、停電時には電力供給システムが自動的に稼働する。指定のコンセントを利用した家電や照明の利用が可能だという(図2中の灰色のアミカケ)。燃料電池からはお湯が得られるため、入浴もできる。積水ハウスは14棟を「安心拠点」と呼んでいる。
同社は全国15カ所でネットゼロエネルギー住宅からなるスマートコモンシティを展開している。この他、同社が販売する戸建て建築に占める「グリーンファースト ゼロ」の販売比率は直近では約48%に達したという。既にゼロエネルギー住宅に対する要望が高まっているということだ。
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