ニュース
地層温度が280度を超える北海道の東部で、地熱発電の掘削調査が始まる:自然エネルギー
洋上風力発電とともに将来の再生可能エネルギーとして大きな期待がかかる地熱発電の開発が全国各地で活発になってきた。新たに北海道東部の山岳地帯で掘削調査が始まった。2016年3月まで調査を続けた後、発電規模が15MW(メガワット)程度の地熱発電所の建設を目指す。
掘削調査が始まった地域は、北海道の東端にある根室市に近い標津町(しべつちょう)である(図1)。成層火山の武佐岳(むさだけ)の周辺地域を対象に、地中深くにある地熱の貯留層などを約2年半かけて調査する計画だ。
この調査は石油資源開発を中心に、三菱マテリアルと三菱ガス化学の3社が共同で実施する。調査用の「試錐井(しすいせい)」を合計3本掘る予定で、1本目の掘削作業を8月23日に開始した(図2)。掘削する深さは地下2300メートルに達して、11月中に完了する。
武佐岳の周辺地域はNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の調査などによって、地熱発電が可能な280度を超える地層温度を確認できている。今後の掘削調査を通じて、地熱の貯留層が地中にどのくらい広がっているかを把握したうえで、発電事業の可能性を判断する。現時点の想定では15MW(メガワット)程度の地熱発電を事業化できると見込んでいる。
関連記事
- 動き始めた地熱発電、全国14か所で大規模な開発計画
政府が規制緩和に乗り出す - 地熱発電の3つの課題−自然公園、温泉、開発期間−
再生可能エネルギーの現実(4) - 国定公園の中で地熱発電の掘削調査、秋田県の湯沢市で始まる
課題になっている環境保全に取り組む - 地熱発電の巨大な潜在力、新たに「温泉発電」も広がる
再生可能エネルギーの固定価格買取制度(7) - キーワード解説:資源量は世界トップクラス「地熱発電」
純国産の資源で、世界でも第3位に入る
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.