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地下鉄を停電時に動かす、東京メトロと日立が協力蓄電・発電機器(2/2 ページ)

日立製作所は鉄道用の蓄電池式回生電力貯蔵装置「B-CHOPシステム」を複数の顧客に提供している。このシステムを改良して、停電時に電力を供給できる「EM-B traction」を開発中だ。東京メトロの葛西駅で2014年1月から実験が始まる。

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なぜ新規の研究が必要なのか。

 B-CHOPシステムを導入すれば電力の出し入れはできる。他社の採用実績もある。なぜそのままB-CHOPシステムを使わないのか。

 「回生電力の利用ができるとしても副次的な効果だと考えている。主な目的は非常時の走行に役立てることだ」(東京メトロ)。

 「EM-B tractionで使う電池自体は、B-CHOPシステムとほぼ同じだ。だが、停電時に電車を動かそうとすると、回生電力とは異なるアプローチが必要になる。架線からの電力を利用できないため、電池への負荷が高くなるからだ」(日立製作所)。

 ではどうすればよいのか。「EM-B tractionはある1つの変電所区間を走行している電車を対象としている。複数の電車がその変電所区間で止まっているとき、全てを同時に動かす能力はない。いったんパンタグラフを全て下ろし、その後、1つずつ(1編成ずつ)徐行して駅に向かって走る。これを繰り返す形が考えられる」(日立製作所)。従って、今回の研究では電池システムを新規開発するというよりも、非常時の実運用条件を検証する形になる(図2)。


図2 停電時の利用イメージ。出典:日立製作所

 EM-B tractionで利用する電池は、リチウムイオン電池セルを複数組み合わせたものだ。実験区間では1500Vの直流を使っているため、チョッパ装置で1500V以上に昇圧して供給する。電流は電車の負荷に応じて変化するという。電池ユニットの寸法は約5m×1.5mであり、実験では複数個を組み合わせて設置する。この他、制御部を置く。

*1) 日立製作所によれば、東京メトロはB-CHOPシステムを導入しておらず、他の用途に日常利用しているスペースに電池システムを設置するため、実験のために長期間占有できないのだという。

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