ボリビアの塩で「リーフ」を何台作れる?:ウイークエンドQuiz(3/3 ページ)
南米アンデス山脈にまたがる山国ボリビア。チリ国境に近いウユニ塩原は一面の白世界で有名だ。全世界のリチウム埋蔵量のほぼ半分が眠っていることでも知られている。それではウユニ塩原のリチウムを全て採掘すると日産自動車の電気自動車「リーフ」何台分が得られるのだろうか。
ウユニ塩原のリチウム量は1020万トン
地質や地理に関する情報が欲しいときは米国地質調査所(USGS:United States Geological Survey)の研究成果が役立つ。「2012 Minerals Yearbook」のリチウム「Lithium」の項を見ると、ボリビアのウユニ(Salar de Uyuni)は世界最大の塩原であり、広さは11万km2に上ることが記されている。
USGSと内務省(DOI)の研究者がまとめたレポート「A Preliminary Deposit Model for Lithium Brines」(2013年)にはリチウムを含む塩水の起源についてまとめられている。リチウム資源の量にも触れている。ウユニ塩原には1020万トンのリチウム資源が埋まっている。2位はチリ最大のアタカマ塩原(630万トン、3000km2)だ。全世界の資源量(2300万トン)のうち、44%と27%をこの2つの塩原が占めている計算だ。
計算に入ろう。リーフは24kWh相当のリチウムイオン電池を搭載している(図3)。この電池の正極はマンガン酸リチウム(LiMn2O4)だ*1)。マンガン酸リチウムの理論容量は148mAh/gであり、平均電圧が3.7Vだとしよう。すると、24kWhの電池に43.3kgのマンガン酸リチウムが含まれていることになる。マンガン酸リチウム1分子相当に含まれるリチウムは重量にして26分の1なので、リチウムの量は1.66kgということになる。1020万トンを1.66kgで割ると答えは61億台だ。したがって正解は「e. 60億台」となる。
*1) 実際の電池ではマンガン酸リチウムの理論容量を引き出すことはできない。実用的な電池では120mAh/g程度だと考えられる。しかし、リーフでは容量を増やすためにニッケル酸リチウム(理論容量275mAh/g)を添加している。添加した比率が不明であるため、上記の計算ではマンガン酸リチウムの理論容量を用いた。
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