浮体式による日本初の洋上風力発電所、福島沖で11月に運転開始へ:自然エネルギー
日本の洋上風力発電の可能性を大きく広げる浮体式による発電所が11月中に福島沖で稼働する見通しになった。陸上までの送電ケーブルの敷設を完了して、現在は発電・変電設備を海に浮かべた状態で試験を実施中だ。途中の悪天候により当初の予定から1カ月遅れて運転を開始する。
福島県から東の沖合18キロメートルの海域に、大型の風力発電設備と変電設備が浮かんでいる(図1)。丸紅など10社と東京大学が共同で推進する「福島復興・浮体式洋上ウィンドファーム実証研究事業」の第1期で利用する設備である。
日本で初めて浮体式による洋上風力発電所を建設するプロジェクトで、7月から8月にかけて悪天候により設置作業に遅れが生じたものの、ようやく11月中に運転を開始できる見通しが立った。2014年3月まで第1期の実証実験を続けて、その後に第2期(2014〜15年度)のプロジェクトへ移行する計画だ。
第1期の洋上風力発電所は発電能力が2MW(メガワット)の大型風車による発電設備「ふくしま未来」に加えて、発電した電力を高圧に変換して陸上まで送るための変電設備「ふくしま絆」で構成する。いずれも海中に沈む部分を含めると、高さが100メートルを超える巨大な設備である。
この2つの設備を洋上に浮かべた状態で、発電した大量の電力を陸上まで安全かつ効率よく送る必要がある(図2)。送電用のケーブルの中でも水中に浮く部分が重要で、「ライザーケーブル」と呼ぶ特殊な構造のケーブルを採用した。ライザーケーブルの敷設が10月10日に完了したことで、すべての準備が整い、発電・変電設備の最終試験を開始できる状態に入った。
今後1カ月程度をかけて、洋上の発電・変電設備と陸上の設備とのあいだで送・受電試験などを繰り返した後、本番の運転を開始する。発電・変電設備ともに浮体式で実現する例は世界でも珍しく、その成果に注目が集まる。
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