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九州最大の発電用ダムに小水力を追加、未利用の水流で600世帯分の電力:自然エネルギー
大規模なダムから下流の自然環境を保護するために放流する「河川維持流量」。これまで未利用だった水流が新たな再生可能エネルギーとして広がりを見せている。九州電力は管内で最大の発電用ダムから放流する河川維持流量を生かして、新しい小水力発電所を宮崎県内で運転開始した。
一ツ瀬川(ひとつせがわ)は宮崎県の中部を流れる川で、上流にはダム水路式の水力発電所としては九州で最大の「一ツ瀬発電所」(18万kW)がある。新たに一ツ瀬ダムの直下に小水力発電設備を導入して、10月25日から「一ツ瀬維持流量発電所」が営業運転を開始した(図1)。
ダムから放流する「河川維持流量」を利用したもので、50メートルの落差を生かして最大330kWの電力を生み出すことができる。年間の発電量は220万kWhを見込んでいて、一般家庭で600世帯分の使用量に相当する。従来からある水力発電所と比べると発電規模は小さいものの、未利用の水流を活用する点で再生可能エネルギーに位置づけることができる。
宮崎県内には主要な河川に沿って大規模なダムや発電所が数多く点在している。九州電力は河川維持流量を生かした小水力発電所の建設に力を入れていて、3月には「上椎葉(かみしいば)発電所」(9万kW)の上流に「上椎葉維持流量発電所」を稼働させたばかりだ。この小水力発電所も一ツ瀬の場合と同様に330kWの発電能力があって、600世帯分の電力を供給することができる。
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