東京電力と中部電力が合弁で石炭火力、2020年度に65万kWを供給開始:電力供給サービス
東京電力は2019年以降に供給を開始する新規の火力発電を外部から調達する計画で、その一部を中部電力との合弁会社で推進することになった。茨城県で稼働中の「常陸那珂火力発電所」の構内に、発電規模65万kWの石炭火力発電設備を建設して、2020年度に運転を開始する予定だ。
早ければ2018年にも実施される「発送電分離」に向けて、電力会社の動きが活発になってきた。燃料費の安い石炭を使う大規模な火力発電設備を、東京電力と中部電力が共同で茨城県に建設する。場所は東京電力の「常陸那珂(ひたちなか)火力発電所」の構内である(図1)。
新設する設備は石炭火力で最先端の「超々臨界圧」と呼ぶ方式を採用して、65万kWの発電能力を発揮する。約3年かけて環境影響評価を実施した後、2016年度から工事に入り、2020年度に運転を開始する計画だ。
この発電設備を運転・保守するための新会社を2013年12月上旬に合弁で設立する。ただし中部電力が資本金1億円の96.55%を出資して、東京電力はわずか3.45%にとどめる。中部電力が主導する発電事業を東京電力の発電所の中で実施する形になる。
東京電力は火力発電のコストを低減する目的で、2019年以降に供給を開始する電力の一部を外部から調達する方針を打ち出していた(図2)。まず2019〜2021年のあいだに調達を開始する260万kW分について入札を実施したところ、3社が応札して68万kWだけが確定した。そのうちの1社が中部電力である。
中部電力は入札にあたって、東京電力の火力発電部門である「フュエル&パワー・カンパニー」との共同事業を前提にしていた。新設する火力発電設備の電力は東京電力の小売部門である「カスタマーサービス・カンパニー」が購入する。
東京電力は発送電分離を先取りする形で、2013年4月から発電・送配電・小売の各事業を3つのカンパニーに分割した。燃料費の安い石炭火力の調達を進めながら、中部電力の資金力を生かして発電事業を強化する狙いもありそうだ。
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