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水道を生かす宮城県、おいしい水で発電も:自然エネルギー(2/2 ページ)
小水力発電は小規模であっても水の流れと高低差があれば設置できる。多目的ダムや農業用水などへの設置が盛んだ。宮城県企業局は「水道管」を利用する。管の内部を流れる人工的な水の流れであっても発電に生かせるからだ。
水道特有の条件とは?
残る2つの条件は水道特有のものだ。「企業局が管理する広域水道は、市町村へのいわば『卸し売り』のような立場にある。小水力発電を導入すると水道の圧力が下がるため、市町村の受水タンクに入らなくなる可能性がある。これは避けなければならない」(水道経営管理室)。
このため、調整池の流入側に小水力発電機を取り付けることになった。流入側で圧力が下がったとしても、下流の水道の圧力は調整池の水位で決まるため、影響を受けない(図3)。馬越石水力発電所の場合は、仙南・仙塩広域水道 高区調整池を利用した。
3つ目の条件は工事の進行に関係する。小水力発電の工事のために水道の送水を停止することはできない。「馬越石水力発電所を設置する位置には、水道管本管の他にもともと修繕・点検用の管があったため、工事が可能となった」(水道経営管理室)。複数の管が並んでいる様子は図1の右側で見て取ることができる。
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