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米国産のLNGが2018年に日本へ、中部電力と大阪ガスの共同事業が決定:電力供給サービス
米国のシェールガスを日本向けに液化する事業が正式に動き出す。LNG(液化天然ガス)の生産・輸出基地をテキサス州に建設するプロジェクトで、中部電力と大阪ガスの参画が決まった。計画が順調に進めば、2018年に年間440万トンのLNGの輸出が始まる。
LNG(液化天然ガス)の生産・輸出基地は米国テキサス州のフリーポート市に建設する(図1)。メキシコ湾に面した広大な敷地に、年間の生産量が440万トンの液化設備を建設する計画で、中部電力と大阪ガスは全量を確保できる見込みだ。2014年の夏に着工して、4年後の2018年に日本向けの出荷を開始する(図2)。
日本のLNG輸入量は2011年度で8318万トンにのぼり、さらに増加を続けている。最大の輸入元は東京電力で29%(2409万トン)を占め、次いで中部電力の16%(1312万トン)、東京ガスの14%(1148万トン)、大阪ガスの9.5%(788万トン)の順に多い。調達価格の安い米国のシェールガスをLNGに加工して輸入できれば、国内で販売する電力とガスの料金低下につながる。
中部電力と大阪ガスは4年間の建設期間中に、それぞれ約6億米ドル(約600億円)を出資する予定だ。これにより液化事業の会社に25%ずつ出資する一方、基地で生産するLNGの全量を確保する(図3)。年間440万トンのLNGは2011年度の日本の総輸入量の5.3%に相当する。
フリーポートのLNGプロジェクトは同じ規模の設備を3系列まで建設する計画で、このうち第1・第2系列に対しては米国エネルギー省から輸出許可が出ている。中部電力と大阪ガスが参画するのは第1系列である。
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