太陽光発電の買取価格が4円も減額に、洋上風力より低く:法制度・規制(2/2 ページ)
固定価格買取制度の2014年度の買取価格が大筋で決まった。注目の太陽光発電は住宅用を1kWhあたり1円の減額にとどめる一方、非住宅用は設備利用率を12%から13%に見直したことで36円から32円へ4円も引き下げる。新設する洋上風力の買取価格は36円になり、太陽光より高くなる。
洋上風力はリスクを考慮して36円に設定
2014年度の第2の変更点は洋上風力の買取価格を新設することだ。現行の風力発電の買取価格は陸上・洋上に関係なく1kWhあたり22円だが、2014年度から洋上風力を別の区分にして一気に36円まで引き上げる(図3)。非住宅用の太陽光発電よりも4円高くなる。将来の拡大が期待できる洋上風力の開発を促進する狙いがある。
洋上風力の買取価格を新設する理由は、資本費が陸上と比べて約2倍も高く、運転維持費は3倍以上もかかるためだ。その代わりに設備利用率は陸上の20%よりも高くて30%を想定できる。年間の平均風速が陸上を上回り、標準的なケースで発電量が1.5倍になると見込まれている。
こうした条件をもとに計算すると、洋上風力の買取価格は30円前後が妥当な水準である。しかし洋上は陸上よりも事業のリスクが高いことから、IRRを陸上の8%よりも高い10%に設定して、買取価格は36円になった。
洋上風力の買取価格を適用できる設置条件は、建設時に加えて運転時の保守にも船舶を必要とすることである。たとえ発電設備が洋上にあっても、陸から作業できる場合には対象にならないので注意が必要だ。
中小水力は既存設備を利用すると建設費が半分
第3の変更点として中小水力にも新しい区分を設ける。水力発電ではダムや用水路から発電機に水を取り込むための導水路が欠かせない。既存の導水路を利用して発電設備を建設できるケースも多く、それに対応した買取価格を設定することになった。
従来の中小水力の買取価格は発電規模によって24〜34円だったが(図4)、既存設備を活用した場合には14〜25円になる。新規に導水路を建設する場合と比べて、資本費が2分の1で済むと想定した。
委員会がまとめた以上の最終案を受けて、経済産業大臣が承認すると2014年度の買取価格が決まる。2013年度は最終案がそのまま承認された。2014年度も現在の最終案のまま3月中に確定する見込みだ。
関連記事
- 2014年度の買取価格、太陽光は2円前後の下げ幅に
前年度に続いて太陽光発電だけを改定 - 洋上風力のコストは陸上の2倍以上、買取価格は30円台へ
再生可能エネルギーの2014年度の買取価格 - 山場を迎える再生可能エネルギー、太陽光に続いて風力と地熱が動き出す
2014年の電力メガトレンド(1) - キーワード解説:発電コストに影響する「設備利用率」
同じ1MWの設備でも実際の発電量に差が出る - キーワード解説:島国の日本に適した「洋上風力発電」
陸地までの送電コストなど解決すべき課題も多い
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.