停電時に太陽光が6kW使える、電気自動車にも充電できる:蓄電・発電機器(2/2 ページ)
三菱電機が世界初をうたう戸建住宅用の電力変換装置「SMART V2H」を発表した。商用電力と太陽光発電システム、電気自動車が内蔵するバッテリーを同時に双方向で利用可能な装置。電気自動車を家庭用の大容量蓄電池とほぼ同じように使える。停電時に太陽光発電を電気自動車の充電に使う、太陽光発電と電気自動車の電力を同時に家庭内で使う、といった使い方ができる。
用途に応じて運転モードを選べる
電力の使用目的や生活スタイルに合わせて、3種類の運転モードを利用できる。グリーンモードとエコノミーモード、自立運転モードだ。
グリーンモードではなるべく電力を自給自足しようとする。日中は太陽光発電システムの電力を最大源、家庭内で消費し、余った分は電気自動車に充電する。夜間は電気自動車から電力を取り出す。いずれも不足分は商用電力を使う。電気自動車をセカンドカーとしている家庭に合うという。
エコノミーモードは電気料金をなるべく抑制するモードだ。ただし、ピークシフトには協力する。日中に太陽光発電システムの電力をなるべく家庭内で使うという動作はグリーンモードと同じだが、余った電力は売電する。深夜割引が受けられる電気料金のメニューを契約し、夜間電力で電気自動車に充電する。同モードが適するのは、昼間の消費電力が少なく、電気自動車をファーストカーとして利用している家庭だ。
自立運転モードは停電時に太陽光発電システムと電気自動車を併用して平常時なみの電力を得たい場合に使う。日中・夜間とも動作はグリーンモードと同じだが、商用電力は使わない。
これらのモードを切り替えるには、本体に付属する室内リモコンを使う。充電ケーブルが接続されていれば、停電時に電気自動車から即座に家庭に電力を供給するよう指示できる。図3にあるように、室内リモコンの表示画面には現在の動作モードと電力の流れ、大きさが表示されている。図3の左から、商用電力の使用量、太陽光発電システムの発電量、家庭内の電力消費量(赤丸)、電気自動車からのV2Hの量、電気自動車の充電量だ。
SMART V2Hの本体は高さ1218mm、幅841mm、奥行き450mmであり、屋外に設置する(図4)*2)。本体にはCHAdeMO規格のコネクタを備えた充電ケーブル(5.5mまたは7.5m)が付いており、これを電気自動車に接続する。
日産自動車「リーフ」を接続でき、今後、三菱自動車の「i-MiEV」にも対応する予定。電気自動車の倍速普通充電器として利用でき、200V充電時の半分の時間で充電が完了するというメリットもある。太陽光発電システムのパワーコンディショナーと接続して使うため、太陽光側のメーカーは選ばない。
*2) 設置条件に制限があり、積雪地、寒冷地、塩害地域への設置はできない。
固定価格買取制度(FIT)では、太陽光の買取価格(調達価格)を3種類定めている。出力10kW未満の場合、余剰買取(単価37円/kWh、税込)とダブル発電(30円、税込)の2種類の方式があり、SMART V2Hではどちらの方式を選ぶかによって製品を分けている。タイプYは余剰買取用。ただし、制度上、売電中に電気自動車からの給電はできない。タイプMはダブル発電用だ。単価は低いが、販売できる電力量は多くなるという特徴がある。
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