製油所に11万kWの火力発電、石油最大手のJXが電力事業を拡大:電力供給サービス
電力システムの改革をにらんで有力企業の動きが活発になってきた。石油元売り最大手のJX日鉱日石エネルギーは岡山県の水島製油所に火力発電設備を導入する。燃料として販売してきた石油コークスを発電に利用して、製油所内に電力を供給するほか余剰分を新電力として外販する計画だ。
水島製油所はJX日鉱日石エネルギーが運営する6つの製油所の中でも最大の原油処理能力を誇る。主に燃料油や潤滑油、ボイラーの燃料になる石油コークスなどを製造している。A工場とB工場の2カ所に分かれていて、このうちB工場に火力発電設備を導入する(図1)。2018年4月に運転を開始する予定だ。
発電能力は11万kWで、電力会社の小規模な火力発電設備に匹敵する。発電した電力は製油所内で利用してコスト削減を図る一方、余剰分は外販する。JX日鉱日石エネルギーは2003年から、東京電力と関西電力の管内で新電力として企業向けに電力を販売してきた。新たに火力発電設備を導入して供給力を高める。
これまで水島製油所では重油と副生ガスを燃料にして自家発電設備を運用してきた。ただし製油所内の電力需要には足りず、不足分は電力会社から購入している。新たに石油コークスを燃料に使える発電設備を導入することで、需要を上回る電力を供給できるようにして余剰分を外販する(図2)。
石油業界は構造改革の真っただ中にあって、製油所の競争力強化を迫られている。JXグループでも石油を中心にした従来の事業構造から、電力・ガス・石炭・水素を加えた総合エネルギー事業へ転換を進めている。発電事業では火力のほかに太陽光に注力して、全国各地の製油所や石油基地の中にメガソーラーを拡大中だ。
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