ニュース
人造湖に7メートルの遊休落差、小水力発電に生かして199kW:電力供給サービス
福井県の内陸部にある「九頭竜湖」には、取水口や注水口が数多くある。そのうちの1カ所で小水力発電所を建設する工事が始まった。注水口から湖に流れる7メートルの水の落差を利用して199kWの電力を供給することができる。J-POWERが2016年5月に運転を開始する予定だ。
J-POWER(電源開発)が小水力発電所を建設する場所は、福井県の東部に広がる「九頭竜湖(くずりゅうこ)」の一角にある(図1)。この湖は発電と治水を目的にダムを建設してできた人造湖で、渓谷の形に合わせて八方に細長く水面が伸びている。
九頭竜湖に流れ込む川の1つに「此の木谷川(このきだにがわ)」がある。川から湖に注水する場所には落差があって、豊富な水量を小水力発電に利用することができる。J-POWERは注水口の近くに堰(せき)を設けて、そこから落差が7.4メートルの地点に水車発電機を設置する計画だ(図2)。
発電能力は最大の水量(毎秒3.2立方メートル)を利用できた場合に199kWになる。年間の発電量は不明だが、小水力発電の設備利用率(発電能力に対する実際の発電量)の標準である60%で計算すると約100万kWhになる。一般家庭で300世帯分の電力使用量に相当する。運転開始は1年半後の2016年5月を予定している。
関連記事
- 小水力発電で町おこし、原子力から離れた内陸部に新たな電源
エネルギー列島2014年版(20)福井 - 小水力発電所を北海道の真ん中に、夏の流量は冬の2倍
J-POWERが初めて小水力発電所を建設 - 開発に弾みがつく中小水力発電、2020年度に60万世帯分を超える電力に
太陽光や風力と比べて発電効率が高くて安定 - 水力発電:全国で2万を超える候補地、発電コストは火力の2倍
再生可能エネルギーの未来予測(4) - 小水力発電の3つの課題−水利権、採算性、維持管理−
再生可能エネルギーの現実(3)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.