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電力会社10社で3848億円の利益改善、九州だけ赤字から脱せず:電力供給サービス
2014年度の上半期は電力会社10社の合計で売上高が10兆円を突破して、営業利益は3848億円も改善した。電気料金を値上げした効果が早くも表れて、燃料費の増加を吸収した形だ。ただし九州電力だけは赤字が続き、関西電力は黒字ながら前年から496億円も利益が縮小した。
電力会社10社で上半期(4〜9月)の売上高が初めて10兆円を突破した(図1)。前年同期と比べて6.1%の増加で、北海道・東北・中部の3社は2ケタの成長率になった。とはいえ10社すべての販売電力量が減少していて、売上増加の要因は電気料金の値上げと燃料費調整額の上昇によるところが大きい。
本業のもうけを示す営業利益は10社のうち8社で前年よりも改善した。東京電力は2833億円の営業利益を上げて、前年から1160億円の増加である。収支の内訳を見ると、特に目を引くのが燃料費の減少だ(図2)。前年と比べて809億円も少なくなっている。そのうちの約590億円は火力発電設備の熱効率が向上した結果、少ない燃料で多くの電力を供給できるようになったことによる。
一方で営業利益が大幅に縮小したのが関西電力だ。前年度の539億円から42億円へ減少した。東京電力とは対照的に燃料費が482億円も増加したほか、他社からの購入電力量が同様に482億円の増加で、売上の伸びを大きく上回った(図3)。関西電力は前年の9月前半まで原子力の「大飯発電所」で2基を運転していたため、その分のコストの差が今年の収益を圧迫している。
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