固定価格買取制度を見直し、価格確定は「接続契約時」が有力:法制度・規制
さまざまな問題が噴出している固定価格買取制度の改善策として、政府は買取価格の確定時期を見直す。現在は発電事業者が電力会社に対して発電設備の接続を申し込んだ時点で買取価格が決まるが、2015年度からは実際に接続契約を締結した時点で価格を確定させる方法に変更する見通しだ。
固定価格買取制度をめぐる最大の問題点は、発電設備の認定から運転開始までの期間が長期化していることにある。現在の制度では発電設備の認定を受けて、電力会社に接続を申し込んだ時点で、買取価格が確定することになっている(図1)。
特に太陽光発電の場合は買取価格が年度ごとに下がっているために、高い買取価格を適用できる年度末に急いで認定を受ける事業者が多い。買取価格が確定してから実際に工事を開始するまでの期間が1年以上に及ぶケースも少なくない。
その間に太陽光パネルなどの価格が低下すれば、発電事業者は建設コストを引き下げながら、高い買取価格で20年間にわたって電力を売却することができる。本来ならば低い買取価格を適用すべき状況にあるわけで、差額分は電気料金に上乗せする「賦課金」として国民の負担増につながる。
こうした問題を改善する対策の1つとして、政府は買取価格の確定ルールを修正する方針だ。現在のところ最も有力な案は、発電事業者が電力会社に接続を申し込んだ時点ではなく、その後に具体的な接続方法を電力会社と協議して、両者間で「接続契約」を締結した時点で買取価格を確定させる方法である(図2)。
電力会社と接続契約を締結するにあたっては、発電設備を送配電ネットワークに接続するために必要な工事の内容を決めて、工事費の負担金も明確になる。さらに接続契約で規定した運転開始日までに実際に運転できなかった場合には、契約解除の措置をとることも可能になる。その一方で接続の申し込みから契約締結までの期間が不当に長引かないようにするルールも必要だ。
このほかに買取価格の決定を運転開始時まで延ばす案もあるが、発電事業者の資金調達などに大きな影響を及ぼすことから、現実的ではない。政府は有識者による委員会で詳細を検討したうえで、2015年度から新ルールを適用する見通しだ。賦課金のうち非住宅用の太陽光発電の割合が圧倒的に大きいことから、買取価格の確定時期を非住宅用の太陽光発電に限って変更する可能性もある(図3)。
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