CO2排出係数が最も低いのは中部電力、7社が前年度から低下:法制度・規制
電力会社が2013年度に供給した電力のCO2排出係数が公表された。最高は沖縄電力で、最低は中部電力だった。10社の合計による総排出量は前年度から0.02億トン減り、10社のうち7社の排出係数が低下している。東京・関西・九州の3社は排出係数が上昇した。
環境省は電力会社をはじめとする電気事業者が供給した電力の実績値をもとに、毎年度のCO2排出係数を事業者別に公表している。CO2排出係数は1kWhの電力に対するCO2排出量で算出する。2013年度のCO2排出係数を見ると、電力会社10社の中で最も低いのは中部電力である(図1)。前年度の0.516から0.513に低下した。
2012年度に最低の排出係数だった関西電力は0.514から0.522へ上昇した。2013年9月まで稼働していた原子力の大飯発電所3・4号機が運転を停止した影響と考えられる。このほかには東京電力(0.525→0.530)と九州電力(0.612→0.613)の排出係数が前年度を上回った。
電力会社のCO2排出量の大半は火力発電によるもので、特に石炭火力と石油火力の排出量が相対的に多い。10社のCO2排出量を合計すると、2013年度は前年度から0.02億トン減って下降傾向が見られる(図2)。LNG(液化天然ガス)火力と石炭火力の比率が増加したものの、石油火力が減少したことで全体の排出量を押し下げた。
各電力会社のCO2排出係数もLNG・石炭・石油の比率でおおむね決まる。排出係数が最も高い沖縄電力では、離島の発電設備の大半が石油を燃料にした内燃機方式を採用している。これに対して排出係数が低い東京・中部・関西の3社は高効率のLNG火力発電所を増やしてCO2排出量の削減を進めてきた。
今後も全体の発電量が減ることは確実で、合わせて高効率の火力発電所が増えていけば、原子力発電所を再稼働しなくてもCO2排出量は削減できる。それに伴ってCO2排出係数も低下していく。電力会社をはじめ電気事業者のCO2排出係数は企業が使用した電力のCO2排出量を算出するのに使われるため、一般企業にとっても重要な指標である。
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