水力を年間1億kWh増やす北陸電力、古い発電所を改修して130万kWh追加:自然エネルギー
全国で電気料金が最も安い北陸電力が燃料費のかからない水力発電の比率を高めている。毎年1億kWhずつ増やす計画で、水力発電所の新設に加えて既設の発電所の改修・増強を推進中だ。富山県で1945年に運転を開始した古い発電所の設備を更新して、発電量を130万kWh拡大した。
富山県の中部を流れる常願寺川(じょうがんじがわ)は標高3000メートル級の立山連峰を源流に、日本海の富山湾まで約50キロメートルの短い距離を一気に下る。その中流に北陸電力の「常願寺川第一発電所」が1945年から運転を続けている(図1)。
運転開始から70年近くを経過した古い水力発電所の設備を更新した結果、発電能力を1万1700kWから1万2000kWへ引き上げることができた。北陸電力は12月17日に出力の変更を経済産業省に届け出た。増加した300kWが新たに生み出す電力は年間に130万kWhになる見込みだ。一般家庭で360世帯分の使用量に相当する。
発電設備は2基の構成で、それぞれの水車や発電機を交換した。水車は立軸で渦巻型のフランシス水車である(図2)。フランシス水車は水力発電で最も一般的に使われていて、その中でも立軸は発電能力が大きい設備に採用するケースが多い。
北陸電力は他の電力会社と比べて水力発電の比率が圧倒的に高く、2013年度には年間の発電量のうち27%を水力発電で供給した(図3)。電力会社10社の平均水準の3倍にのぼる高い比率だ。さらに燃料費の安い石炭火力の比率が60%に達することから、全国で最も安い料金で電力を供給することができる。
2014年度からは水力の発電量を年間に1億kWhずつ増やす目標を掲げて、よりいっそう水力発電の比率を高めていく計画だ。未利用の水流を生かした中小規模の水力発電所を新設するほか、既存の大規模な水力発電所の出力増強にも取り組む。
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