営業赤字は北海道・関西・九州の3社、燃料費で分かれる電力会社の業績:電力供給サービス
2014年度の第3四半期(4〜12月)は電力会社10社の合計で売上高が15兆円に達して、前年比で5.2%の伸びになった。ただし販売電力量は全社で前年の実績を下回り、市場の縮小が続いている。営業利益では関西電力が666億円の赤字を出す一方で、東京電力は2991億円の黒字を計上した。
電力会社による業績の差は開く一方である。2014年度の第3四半期(4〜12月)の連結決算を見ると、前年同期から営業利益が最も増えたのは東北電力で928億円、次いで中部電力の867億円、東京電力の678億円と続く(図1)。東北と中部は電気料金を値上げした効果が大きく、東京電力は火力発電の燃料費が減少した。
それ以外の各社も前年から利益を改善している中で、関西電力は589億円も悪化して損失が666億円にのぼった。収益の内訳を見れば理由は明確だ。売上高は前年から3%伸びたものの、燃料費調整額や再エネ賦課金の増加が主な要因で、販売電力量の減少による920億円の減収分をカバーできていない(図2)。
一方で費用面では火力発電の燃料費が増えているが、これは燃料費調整額でおおむね回収する構造になっている。むしろ問題は他社からの購入電力料で、前年と比べて435億円も増加した。原子力発電所が運転を停止している影響とはいえ、自社の発電分を含めて電力の調達コストに課題が残る。
対照的なのが東京電力である。早くも2014年度の通期の業績予想を詳細に公表している。売上高は関西電力と同様に前年比で3%程度の伸びにとどまりながら、経常利益は2倍以上の2270億円に増える見込みだ(図3)。特に燃料費が年間で1470億円も減少する効果が大きい。
東京電力は火力発電の構成を2013年度から抜本的に改善して、燃料費の高い石油の消費量を2年間で半分以下に減らしている(図4)。その代わりに燃料費の安い石炭を増やしながら、主力のLNGは発電設備の高効率化と調達コストの低減を進めてきた。原子力発電所が再稼働しなくても、安定した利益を出せる構造ができつつある。
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