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エネルギーミックスに3つの指標、発電コスト、CO2排出量、自給率法制度・規制(1/2 ページ)

政府が検討中のエネルギーミックスの方向性が具体的になってきた。2030年の電源構成を決めるにあたって3つの指標を重視する方針だ。経済性の観点で発電コスト、環境性でCO2排出量、安定性の面では自給率の改善を目指す。省エネと再エネの最大化を前提に、原子力と火力の比率を決める。

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既報:「2030年のエネルギーミックス、火力発電を5割まで低減」

 今後のエネルギー政策の基本方針になるのは「3E+S」である。2030年のエネルギーミックス(電源構成)も3E+Sを重視して決める。3つのEは「Economy(経済性)」「Environment(環境性)」「Energy Security(安定性)」で、Sは「Safety(安全性)」だ。

 このうち3Eを判断する指標が明確になってきた。経済性は発電コストが低い「ベースロード電源」の比率、環境性はCO2を排出しない「ゼロエミッション電源」の比率、そして安定性はエネルギーの自給率に基づく「セキュリティ電源」の比率である。

 第1の指標になるベースロード電源は発電コストが低くて、昼夜を問わず安定して稼働する電源が対象になる。政府の定義では原子力、石炭火力、水力、地熱の4種類である(図1)。ただし原子力のコストと安定稼働については議論の分かれるところだ。


図1 電力需要に対応した電源構成(左)と年間発電電力量(右)。出典:資源エネルギー庁

 震災前の2010年度にはベースロード電源による発電電力量が全体の6割強を占めていた。それが震災後の2012年度になると4割弱まで低下している。原子力が減った代わりに、天然ガスと石油による火力が増えたためだ。2030年には再び6割以上に戻すことが求められる。

 火力のうち天然ガスは高効率化によって発電コストが下がることから、2030年の時点ではベースロード電源に加えるのが妥当だろう。発電コストに関しては原子力を含めて政府が見直しを進めることになっていて、その結果が待たれる。

 第2の指標になるゼロエミッション電源には、原子力と再生可能エネルギーの2つが入る。2012年度と2013年度には発電電力量のうち9割近くを火力が占めた結果、CO2の排出量も大幅に増えてしまった(図2)。地球温暖化対策を世界にアピールするためには、2030年までに火力を大幅に減らして、ゼロエミッション電源の比率を5割程度まで増やす必要がある。


図2 発電電力量の電源構成とCO2排出量。出典:資源エネルギー庁
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