エネルギーミックスに3つの指標、発電コスト、CO2排出量、自給率:法制度・規制(2/2 ページ)
政府が検討中のエネルギーミックスの方向性が具体的になってきた。2030年の電源構成を決めるにあたって3つの指標を重視する方針だ。経済性の観点で発電コスト、環境性でCO2排出量、安定性の面では自給率の改善を目指す。省エネと再エネの最大化を前提に、原子力と火力の比率を決める。
日本のエネルギー自給率は6.3%
火力発電にはもう1つの問題がある。燃料の大半を輸入に頼っているために、安定調達の面で不安が大きい。第3の指標としてエネルギーの自給率を重視する理由である。2011年度に日本が輸入した化石燃料の調達状況を地域別に見ると、リスクの高い中東に依存しているのが石油だ(図3)。一方で天然ガスや石炭はリスクの低い東南アジアやオセアニア、今後は北米からの輸入も増える。
こうした地域による地政学上のリスクや各国の供給量などをもとに「セキュリティ・インデックス」を国別に算出して、エネルギーミックスの検討材料に加える。発電コストとCO2排出量の問題も含めて考えれば、リスクの高い地域に依存している石油は2030年のエネルギーミックスの中でほぼゼロになることは確実である。
2012年度の時点で日本の1次エネルギー自給率は6.3%しかない(図4)。1次エネルギーには電力以外も含まれているが、ともかく再生可能エネルギーの少ないことが自給率を下げている。世界の主要国と比べて見劣りすることは明らかで、2030年には30%程度まで高める必要がありそうだ。メタンハイドレートなど国産の化石燃料に加えて、自動車をはじめ水素の有効活用にも大きな期待がかかる。
エネルギーミックスを検討する「長期エネルギー需給見通し小委員会」の委員長を務める坂根正弘氏(小松製作所相談役)は2つの方針を表明している。1つ目は震災前と比べて省エネと再エネを最大限に拡大することである。それを前提に原子力と火力の比率を震災前よりも引き下げることが2つ目の方針だ。
電力の需要は家庭と企業の節電対策によって着実に減ってきた(図5)。資源エネルギー庁の統計では2013年度に微増になったものの、2014年度は再び減少することが確実になっている。2030年に向けて経済が好転することを想定しても、電力の需要が現在よりも増える可能性は極めて低い。この点をどのような指標で判断するかが重要な課題として残っている。
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