電気料金が原油の価格安で4月に下がる、北海道と中部は上昇:電力供給サービス
2015年4月分の電気料金には、いくつかの変動要因がある。北海道では値上げの軽減措置が3月で終了して単価が上がる。そのほかの地域は原油の輸入価格が低下したことで燃料費調整単価が安くなるが、LNGの比率が大きい中部だけは3月よりも高くなる。関西の値上げは5月にずれ込む見込みだ。
2015年度がスタートする4月の電気料金の単価が全国10地域で確定した。家庭向けの標準モデル料金で比較すると、北海道が月額9338円で圧倒的に高い(図1)。これに対して最も安い北陸は6000円台まで下がる。
石油火力の比率が大きい北海道では原油の輸入価格が低下した恩恵を受けて、燃料費調整単価は10社の中で1社だけマイナスになった。ただし2014年11月に実施した値上げの軽減期間が3月で終了して本来の単価に上がるため、4月分の電気料金は3月分と比べて上昇する。それでも家庭向けの標準モデルで30円の小幅な増加にとどまる。
北海道に次いで高いのは東京だが、やはり3月と比べると標準モデルで63円の低下になる。月によって変動する燃料費調整単価が1kWhあたり0.21円安くなるためだ。燃料費調整単価は3〜5カ月前の輸入価格をもとに決まり、このところ原油の価格が下落傾向にある(図2)。
一方でLNG(液化天然ガス)と石炭は上昇傾向にあり、火力発電に使う燃料の比率によって地域で差が出る。電力会社の中でLNGの比率が最も高い中部電力だけは燃料費調整単価が4月に上がる。その影響を加えても、東京と比べれば家庭向けの標準モデルで月額400円以上も安い。
関西電力は現状では全国の平均レベルだが、申請中の値上げによって家庭向けで8〜9%程度の上昇が見込まれる。その結果、東京と同等の高い料金水準になって、西日本の周辺地域と比べると月額で1000円前後の差がつく。値上げの実施時期は政府による認可が難航しているため5月になる可能性が大きい。
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