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九州電力は要対策、太陽光発電の出力抑制の試算が示す法制度・規制(4/4 ページ)

太陽光発電協会(JPEA)は2015年3月、太陽光発電設備に対する出力抑制の影響を公表した。九州電力と東北電力、中国電力を対象としたもの。無制限・無補償の出力制御とはいうものの、九州電力では2017年ごろの年間抑制率は6.9%にとどまるという。ただし、対策を打たないと2021年には23.4%に達する可能性がある。JPEAの試算から分かることは、原子力発電所の運用と地域間系統連系線の活用が年間抑制率に強い影響を与えることだ。

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中国電力は2022年に抑制率6.7%

 中国電力は2014年11月時点で「接続可能量」に到達していない。そのため、まず360時間ルールが適用される。シミュレーション結果が多少複雑になる。

 ベースロードが266万kWの場合、「接続可能量」の558万kWに達した時点で、年間抑制率は6.7%(図6)。JPEAによれば2022年ごろの接続量だ。系統接続量が650万kWを超えた辺りから抑制率が急上昇し、2030年以降に到達するとJPEAが予測した850万kWでは10kW以上の設備の抑制率が36.1%にも達する。特徴的なのはその時点で、10kW未満の設備でも抑制率が6.1%となることだ。

 ベースロードが220万kWの場合は、系統接続量が558万kWの時点で、年間抑制率は3.7%。850万kWでも23.8%だ。このとき10kW以上設備の360時間ルールは11.0%、10kW未満は0.5%。

 ベースロードが170万kWだと、558万kW時点で抑制率は1.5%、850万kW時点でも10.4%である。


図6 ベースロードが266万kWの場合の中国電力のシミュレーション結果 出典:JPEA

九州電力は対策の時間が残り少ない

 JPEAが試算したシミュレーション結果から分かることは、4つある。まず九州電力では事態が急速に進むということだ。2017年ごろに6.9%と予想される年間抑制率が、2021年には23.4%に達する可能性がある。東北電力と中国電力では2030年まで対策をとる多少の時間の余裕がありそうだ。

 2番目も九州電力だ。九州電力は年間抑制率を計算する場合、出力抑制の時間単位を「日」としているため、実運用から懸け離れた抑制率になっている可能性がある。これでは太陽光発電事業者などに不必要な不安を与えてしまう。

 次は中国電力だ。図2では地域間系統連系線の活用量が「0」になっている。新たに46万kWを活用することで、2022年時点の抑制率を6.7%から3.7%に減らすことが可能だ。

 4番目は出力が変化しないベースロードの規模が小さくなると、太陽光発電の年間抑制率が下がることだ。太陽光発電の抑制率は原子力発電の規模が大きいほど高まる。

 再生可能エネルギーも原子力もともに20%超まで増やすという政府のエネルギーミックスの方針(関連記事)を実現するというのであれば、地域間系統連系線の活用、拡張は必須だ。

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