「オンサイト発電」で工場に電力と蒸気を供給、年間1億円のコスト削減に:蓄電・発電機器
食用油メーカーのJ-オイルミルズは主力生産拠点の千葉工場で使うエネルギーを「オンサイト発電」に切り替える。設備の計画から保守までを全面的に外部の事業者に委託する方式で、年間に1億円のコストを削減する計画だ。ガスコージェネレーションを導入してCO2排出量も46%少なくなる。
J-オイルミルズは2003年に誕生した食用油の大手メーカーで、ホーネンコーポレーション、味の素製油、吉原製油の3社が統合して発足した。現在は2020年に向けて事業構造の転換を進めていて、工場のエネルギー供給体制も抜本的に改革する方針だ。全国に6カ所ある工場のうち、首都圏の千葉工場から改革に着手した(図1)。
すでに千葉工場では新しいエネルギー供給設備の建設工事が始まっている。工場内に最新のガスコージェネレーションシステムを導入して、電力と蒸気の両方を供給できるようにする計画だ。発電能力は8MW(メガワット)で、2016年4月に運転開始を予定している。
J-オイルミルズは千葉工場のエネルギー供給設備を全面的に新日鉄住金エンジニアリングに委託した。設備の計画・設計・建設のほかに、燃料になるガスの調達、稼働後の運転・保守、さらに設備の導入に必要な資金の調達までを請け負う「オンサイト発電」と呼ぶ事業形態である。
この方式を採用することによって、千葉工場のエネルギーコストは年間に1億円も削減できる。一方で新日鉄住金エンジニアリングは発電した電力の余剰分を小売事業にも生かしながら、プロジェクト全体のコスト削減を図る。
オンサイト発電に向けて、新日鉄住金エンジニアリングはガスタービン発電機を川崎重工業から調達した(図2)。発電効率は33%だが、排熱を利用して蒸気を供給するコージェネレーションによって電力と熱を合わせた総合効率は82%に達する。
燃料のガスをエネルギーに転換する効率が通常の火力発電と比べて圧倒的に高くなり、コストとCO2排出量の両方を大幅に削減することができる。J-オイルミルズの千葉工場ではエネルギーの消費に伴うCO2排出量が従来と比べて46%も低減する見通しだ。
千葉工場に続いて倉敷工場や静岡工場でもオンサイト発電を検討中である(図3)。そのほかの工場では蒸気を高効率で供給できる「貫流ボイラー」の導入を進めて、6カ所の合計で年間に4億円のエネルギーコスト削減を目指す。
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