2030年に再生可能エネルギー33%へ、原子力にこだわらない環境省の予測:自然エネルギー(2/2 ページ)
CO2排出量の削減を重視する環境省が再生可能エネルギーの将来予測をまとめた。現行の施策に加えて合理的な対策を実施することにより、2030年には国内の発電電力量の33%を再生可能エネルギーで供給できる想定だ。経済産業省が検討中のエネルギーミックスよりも意欲的な拡大を見込む。
CO2削減目標の国際交渉を5月に開始
2030年のエネルギーミックスに関する検討が急ピッチで進んでいるのは、CO2排出量の削減に向けた対策を世界の主要国が2015年内に合意することになっているためだ。11月から12月にパリで開催する予定の「COP(気候変動枠組条約締約国会議)21」の場で、2020年以降の削減目標に対して各国が合意する必要があり、それに向けて日本は5月までに具体案を策定しなくてはならない(図4)。
発電に伴うCO2排出量を削減するためには、原子力か再生可能エネルギーを増やす必要がある。この2種類の電源の位置づけが経済産業省と環境省で違う。既存の発電設備を優先して放射能汚染のリスクを高めるのか、新規の発電設備を増やして電力安定供給の課題に取り組むのか、国の未来をかけた大きな分岐点になる。
世界の主要国の状況を見ると、日本の取り組みが遅れをとっていることは明らかだ。各国の発電電力量に占める再生可能エネルギーの割合は、デンマークの48%を筆頭に、ヨーロッパでは30%前後の国が多い(図5)。英国は2013年の時点で14%にとどまっているが、風力を中心に導入量を大幅に増やして、2020年には31%まで引き上げる計画である。このままでは日本と米国だけが先進国の中で取り残される。
世界各国のエネルギー政策をとりまとめるIEA(国際エネルギー機関)の予測では、2030年に全世界で再生可能エネルギーの割合が30%に到達する見通しである(図6)。その水準に日本が追いつくためには、経済産業省の目標値を環境省の予測値に近づける必要がある。両省で折り合いをつけて、先進国にふさわしいエネルギー供給体制を目指したい。
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