電力小売事業者がHEMSサービスを追加可能に――全面自由化に向け自社プランを強化:エネルギー管理
NTT東日本は電力小売事業者向けHEMSサービス「フレッツ・ミルエネ事業者プラン」を発表した。2016年の電力の小売り全面自由化に伴い、自社の電力サービスの付加価値向上を目指す電力事業者に向けて安価にHEMSサービスを提供していく狙いだ。
NTT東日本はHEMSサービス「フレッツ・ミルエネ」の新たなプランとして、2015年6月1日から「フレッツ・ミルエネ事業者プラン」の提供を開始する(図1)。主に電力小売事業者向けに安価に提供するプランで、電力事業者は電力サービスとセットでHEMSサービスの提供が可能となる。さらに事業者プランの利便性の向上を図るため、今後、SMA取得済みの機器を活用したスマートメータからの電力計測機能、スマートフォンなどを用いたリアルタイムでの遠隔家電操作機能などを提供する予定だ。
2016年からの電力の小売全面自由化に伴い、さまざまな事業者が、新たな電力小売事業者として参入することが予想される。こうした電力小売事業者からは、自社の電力サービスの付加価値を高めるために、安価に提供できるHEMSサービスが求められつつある。また効果的な需給管理や、魅力的なサービス・料金プランの検討を行っていく上では、スマートメータからのBルート電力の活用が有用だと考えられている。Bルートは、スマートメーターとそれが設置されている建物内のHEMSを結ぶ情報伝達ルートで、電力の計測間隔が短く、短時間で情報の取得が可能なためだ。
新プランの料金は宅内に設置する機器の費用に加え、5年の利用料を初期一括で支払うと、1ユーザー当たり税別1万5000円程度(スマートメータを利用した場合)からの提供となる。提供エリアは日本全国が対象で、フレッツ光以外のインターネット回線でも提供可能としている。
フレッツ・ミルエネは現在、電力の見える化や電力データ抽出などの基本的なHEMS機能や、付加機能としてマルチメーカー対応の家電遠隔操作、メールによる管理見守り機能を提供している。料金は月額料金の他、初期費用、対応機器のレンタル料または対応機器購入料金が必要。月額料金は戸建てや集合住宅の規模などに合わせて細かく設定されている。
NTT東日本はフレッツ・ミルエネの利便性の向上を目指し、2015年7月からフレッツ光のホームゲートウェイ(HGW)にUSBドングルを接続すれば、フレッツ・ミルエネがスマートメータに対応する機能を追加する予定だ。これにより、スマートメーターから直接電力情報を取得できるようになり、分電盤への計測器の設置が不要となるとともに、電力事業者は計測間隔の短い電力使用データが利用可能になるという。
さらに同じく同年7月から、ECHONETLite(エコーライトネット)に対応した家電を、スマートフォンなどで遠隔操作できる機能も追加する予定だ。対応する家電は、今後メーカーと協力して公開する予定としている。この他には、2015年度第3四半期をめどに、NTT東日本のサーバと電力事業者のサーバを連携させることで、取得したエンドユーザーの電力使用データを電力事業者に対してさらに短時間で提供する機能も提供するとしている(図2)。
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