エネルギーミックスの改善で温室効果ガスを削減、2030年までに26%:法制度・規制(2/2 ページ)
政府が2015年内に世界各国と合意する温室効果ガスの削減目標が固まった。CO2を主体にした温室効果ガスの排出量を2030年までに2013年比で26%削減して、欧米の先進国と同等の貢献を果たしていく。電力をはじめエネルギーの生産・利用に伴って排出するCO2の削減が中心になる。
電力由来のCO2排出量を34%削減
経済産業省が策定したエネルギーミックスの原案では、LNG(液化天然ガス)・石炭・石油を合わせた火力発電の比率を震災前の63%から2030年に56%まで削減する(図4)。残る44%はCO2を排出しない「ゼロエミッション電源」の再エネと原子力で供給する構成だ。
このエネルギーミックスを実現できると、電力に由来するCO2排出量は2013年比で34%も減り、エネルギー全体でも25%の削減率を達成することができる(図5)。CO2以外のメタンや代替フロンガスなどの削減と合わせて、約束草案に盛り込む26.0%の削減率になる。
世界全体で見ると、日本が排出する温室効果ガスの絶対量は多くない。2012年の時点で米国の5分の1にとどまり、新興国の中国やインドと比べてはるかに少ない(図6)。とはいえ欧米の先進国が削減効果を上げているのに対して、日本は震災後に増加傾向が続いている。
1997年に京都で開催した「COP3」で初めて、温室効果ガスの削減目標が国際条約として締結された。有名な「京都議定書」で、日本は2008〜2012年の5年間に1990年比で6%の削減目標を掲げていた。
しかし震災の影響がなくても目標値には遠く及ばず、開催国としての責任を果たせていない状態だ。2030年に向けた新たな削減目標は達成しないわけにはいかない。対策の柱になるエネルギーミックスの実現性が問われることになる。
関連記事
- 再エネと原子力ともに20%超で決着、“暫定的な”2030年のエネルギーミックス
国の温暖化対策の目標値を決めるうえで欠かせないエネルギーミックスの原案がまとまった。2030年までにCO2排出量を削減するため、再生可能エネルギーと原子力の発電量をいずれも20%以上に高める。ただし暫定的な目標に過ぎず、再エネと原子力の比率は変動する可能性が大きい。 - 全世界の発電量の68%は火力で作る、水力が原子力を上回る現実
資源エネルギー庁が毎年まとめる「エネルギー白書」には、各国の電源構成から再生可能エネルギーの進展状況、化石燃料の生産量・埋蔵量まで、世界と日本のエネルギーに関するデータが豊富に入っている。主要な5つのテーマに分けて、注目すべきデータを拾っていく。第1回は電源構成である。 - 国内のエネルギー消費量が3年連続で減少、都市ガスと再エネだけ増加
化石燃料と電力を中心とするエネルギーの最終消費量が2011年度から減少傾向を続けている。このほど2013年度の実績がまとまり、前年度から1.0%減少した。特に消費量の多い石油と電力が3年連続で縮小した影響が大きい。一方で都市ガスと再生可能エネルギーの消費量が伸びている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.