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九州電力がスマートグリッドの実証を延長、軽負荷期の需給対策も検討へ:エネルギー管理
九州電力は佐賀県と鹿児島県で実施中のスマートグリッド実証試験の期間を2017年3月まで延長する。太陽光発電と蓄電池を組み合わせた電力の利用方法を検証し、最適な電力需給体制の構築を目指す。さらに試験結果を活用して軽負荷期の需給対策も検討していく。
九州電力は佐賀県玄海町と鹿児島県薩摩川内市で2015年3月までの計画で実施していたスマートグリッド実証試験を2017年3月まで延長する。この実証試験は蓄電池などを利用して、太陽光などの出力が不安定な再生可能エネルギーが大量に導入された場合でも、高品質・高信頼度の電力供給が維持できる電力需給体制の構築を目指して実施されている(図1)。
実証試験の期間が延長された背景には、2011年3月の東日本大震災がある。同震災の影響により、実証試験の開始予定が当初の2011年4月から2年程延びたため、十分な実証期間が得られないという状況だった。さらに太陽光発電の接続申し込みが急増するなど、再生可能エネルギーの導入環境の変化を踏まえた技術的な検討も必要になっていることもあり今回の延長が決まった。
実証試験では、太陽光発電による出力の把握・予測手法と、蓄電池を最適に制御する技術の検証を行う。将来的にはこの成果を活用して、九州エリア全体の電力需給バランスの調整が行えるようにする狙いだ。ここから得られた知見は、九州電力が福岡県豊前市で行う「大容量蓄電システムバランス改善実証事業」にも適用する。同事業では大容量蓄電池を電力系統に接続して、需給バランスの改善を行う実証などを実施している。
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