東京電力がソフトバンクと全国規模で提携へ、携帯電話サービスとセット販売:電力供給サービス
小売全面自由化に向けた東京電力の事業展開が加速してきた。携帯電話と組み合わせた新サービスを全国で展開するためにソフトバンクと提携交渉に入り、9月までに基本合意を目指す。一方で首都圏を中心に従来のサービスエリアではNTTドコモやKDDIとも協業を進めて両面作戦を展開する。
東京電力がソフトバンクグループのソフトバンクモバイル(7月1日から「ソフトバンク」に名称変更)と電力の小売で提携する意向を明らかにした。提携内容の詳細を詰めて9月までに基本合意書を締結する予定だ。
両社が共同で取り組むのは、2016年4月に自由化される家庭と中小法人事業者を対象にした「低圧」(契約電力50kW未満)の分野である。東京電力は首都圏を中心に2900万の顧客を抱える一方、ソフトバンクは全国に3700万の契約数がある(図1)。東京電力のサービスエリア(関東と山梨県、静岡県の東部)以外の地域でも約2000万の契約数があり、今後の全国展開で強力なパートナーになる。
東京電力は従来のサービスエリアと他のエリアで小売事業戦略を変えていく。首都圏を中心にした従来のサービスエリアでは既存顧客の継続に向けて、NTTドコモやKDDIとも連携する全方位の戦略を展開する方針だ。すでにNTTドコモとは共通のポイントサービスを実施する体制ができつつある。電力と携帯電話のセット販売を大手3社すべてと開始する可能性が大きい。
一方でソフトバンクと組んで全国に拡大する小売事業は新規に顧客を獲得する必要があるため、料金面を含めて競争力のある新サービスが求められる。2017年4月にはガスの小売全面自由化も始まることから、ガス会社や住宅関連メーカーを加えた広範囲の提携に拡大していく見込みだ(図2)。
東京電力は小売全面自由化に合わせて2016年4月に火力発電・送配電・小売の3事業会社に分割することを決めている(図3)。このうち小売事業会社は地域や顧客分野によって複数に分けることも考えられ、全国展開する家庭向けの小売事業ではソフトバンクと合弁会社を設立する可能性もある。
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