スマートメーター導入は2015年度末までに1000万台突破、落札メーカーも続々決定:電力供給サービス(2/2 ページ)
電力会社によるスマートメーターの導入が順調に進んでいる。電力各社では設置計画に沿って取り組みを開始しており、現在のところは前倒しで導入が進んでいる状況だ。これに伴いスマートメーターを製造するメーカーの業績も好調だという。
スマートメーター設置は各地域で前倒しで加速
関西電力は2014年度下期〜2015年度上期調達分の競争入札の結果、スマートメーターの電力量計ユニット、ユニットケース、直結ユニットについて、エネゲート、大崎電気工業、GE富士電機メーター、東芝(東光東芝メーターシステムズ)、三菱電機の5社と契約した。同社では2014年度末の実績で395万台を導入。当初の計画から1年前倒し2022年度までに1300万台の全数導入を目指している。さらに2015年度のグループ計画としてスマートメーターを活用した電力の使用状況の見える化の推進を掲げている。
中部電力は管内エリアで2014年10月から一部地域でスマートメーターの設置を開始。通信やシステムの検証を建物密集地や寒冷地など、さまざまな環境下で実施している。2015年以降は全地域のお客を対象に電気メーターの検定有効期限満了時などに合わせて順次取り換えて、2023年3月には約1000万台全てのスマートメーターの設置を完了する予定だ。
2015年7月〜2016年3月までの設置分については入札を行い、30Aスマートメーター(9万台)がGE富士電機、東光東芝メーターシステムズ、三菱電機、60Aスマートメーター(約78万台)はGE富士電機メーター、東光東芝メーターシステムズ、三菱電機、120Aスマートメーター(約53万台)は、GE富士電機メーター、中部精機、三菱電機にそれぞれ調達先が決定している。さらに2016年4月〜2017年3月の設置分の入札結果についても発表。調達先は30Aスマートメーター(12万台)はGE富士電機、中部精機、東光東芝メーターシステムズ、三菱電機の4社、60Aスマートメーター(約118万台)がGE富士電機メーター、中部精機、東光東芝メーターシステムズ、三菱電機の4社、120Aスマートメーター(約35万台)がGE富士電機メーター、中部精機、東光東芝メーターシステムズ、三菱電機の4社となっている。
九州電力ではスマートメーターを、需要家サービスの向上と業務高度化を目的に、九州全域の利用者対し、2023年度までに全数となる約800万台の導入を目指している(2014年度末までの導入実績は約83万台)。2014年度下期〜2015年度上期調達分については一般公開入札を実施した結果、軽量ユニット・ユニットケースについては九州三菱電機販売(製造メーカーは三菱電機)、九電テクノシステムズ(同、大崎電機工業)、GE富士電機メーター、東芝(同、東光東芝メーターシステムズ)と契約している。
好調なスマートメーターメーカーの業績
全国の10電力会社のうち4社が以上のように入札による調達先を公表している。そこで契約を結んだメーカーのスマートメーターの売り上げは、2014年度も好調な伸びを見せており、この動きは2015年度以降も続く見込みだ。
三菱電機は、2014年度決算で、同社の社会インフラ事業の中で成長した製品分野としてスマートメーターを挙げている。さらに、2015年度についても「好調な伸びを見込んでいる」(同社)と期待をかける。
大崎電気工業では、2014年度の計測制御機器事業が前年比17.3%増の751億円を記録したが、その要因の1つに国内の電力会社向けに販売しているスマートメーターの売上高増を挙げている。2015年度も電力会社の導入計画が本格化しつつあることから、大幅な需要増を見込む。ただ、電力各社からのコストダウン要請やメーカー間の競合の激化も予想し、販売活動の強化や製造コストの低減に取り組む方針だ。
GE富士電機メーター(2011年に富士電機とGEの合弁会社としてスタート)の親会社である富士電機の2014年度の決算を見ると、社会インフラ分野が売り上げを伸ばしており、スマートメーターの好調な売れ行きがその一因となっている。同社では2015年度も引き続きスマートメーターの量産設備増強による受注・売り上げ拡大を目指すとしている。
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