水素ステーションにガススタンドを併設、メリットは運用コストの削減にあり:電気自動車
東邦ガスが商用水素ステーションの拡充を進めている。2015年8月から名古屋市港区にオフサイト方式の「新港明水素ステーション(仮称)」の建設を開始する。同ステーション内には天燃ガスやLPガスのスタンドも併設して、運用コストの削減を目指す。
エネルギー関連分野を中心に事業領域の拡大を進めている東邦ガスは、水素ステーションの拡充に取り組んでいる。市販の燃料電池自動車への充填が可能な商用水素ステーションとして2015年5月15日に営業を開始した「日進水素ステーション」(愛知県日進市)(関連記事)に続き、2016年上半期中のオープンを目指して、「新港明水素ステーション(仮称)」(名古屋市港区)の建設を2015年8月に着工する(図1)。供給方式はオフサイト方式を採用する予定で、供給能力は1時間当たり300立方メートル、充填圧力は70メガパスカル(MPa)で、充填時間は1台当たり3分間程度となっている。
建設予定地は、港明用地の北西部(図2)だ。同地は、総合エネルギー事業のモデル地区で、東邦ガスがスマートタウンの実現に向けて開発を進めている。約5000平方メートルの敷地内には、大型路線バスや大型トラックに充填可能な天然ガススタンドに加え、地域のタクシーの充填拠点となるLPガススタンドも設置する。これらを併設することにより、運営コストの低減やスペースの有効利用などのメリットが期待できる。
今回の水素ステーションの建設には経済産業省の「水素供給設備整備事業費補助金」と愛知県の「愛知県水素ステーション整備費補助金」を利用する。また、天然ガススタンドの建設には環境省の「低炭素価値工場に向けた二酸化炭素排出抑制対策事業補助金」を活用する予定だ。
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