スマートコミュニティで地方創生、エネルギーの持続可能な地産地消へ:スマートシティ
岐阜県東部に位置する瑞浪市で、スマートコミュニティを活用した地域経済の活性化プロジェクトが進んでいる。分散型エネルギーシステム・サービスを導入することで、低層住宅地をスマートコミュニティとして再構築する。競争力のある住宅地の整備することで、瑞浪市の定住人口の増加を図り、市の地方創生に寄与する狙いだ。
岐阜県瑞浪(みずなみ)市とユアサ商事が推進する「瑞浪市学園台スマートコミュニティ事業(仮称)」に係る事業計画策定事業が、経済産業省の「平成26年度地産地消型再生可能エネルギー面的利用等推進事業」に採択された。この事業計画は瑞浪市および地元事業者が連携することで地域経済活性化を図るスマートコミュニティ事業で、ユアサ商事が開発事業とエネルギー事業の双方を担う。事業計画を通じて、瑞浪市が環境基本計画等で進める都市像に合致した地方創生の実現を目指す狙いだ。
事業計画策定の目的は「瑞浪市学園台地区(ガーデンシティ瑞浪学園台内)」(図1)に面的な分散型エネルギーシステム・サービスを導入することで、低層住宅地をスマートコミュニティとして再構築し、競争力のある住宅地の整備を行うもの。この取り組みにより瑞浪市の定住人口の増加を図り、市の地方創生に寄与する。
また「既存住宅ストックのスマートコミュニティ・リノベーション事業」として、中古住宅を活用したビジネスのプロトタイプを創出する。さらに地域エネルギーサービスを核とした地域事業者によるマネジメント事業を実現し、持続可能なビジネスモデルを構築することで、今後の他地域への事業モデルとして展開していく方針だ。
事業計画ではガーデンシティ瑞浪学園台の新規街区約300区画を対象にスマートコミュニティを構築する。街区内での複数世帯(4〜5世帯)で太陽光発電、太陽熱集パネルなどのエネルギー設備や蓄電池を共有することで、再生可能エネルギー・未利用エネルギーの利用の最適化を図るとともに、再生可能エネルギーを街区内消費するシステムの構築を目指す。既存街区についても、段階的に省エネ化、高効率化を図る計画だ(図2)。
具体的には太陽光、地中熱の利用により、エネルギーの地産地消とその最適管理の実現について検証する。太陽光発電システムはエネルギーサービス事業者が保有し、固定価格買取制度を活用せずに街区内で消費する。4〜5世帯の1棟は太陽熱集熱パネルを設置し、そこで得られた太陽熱温水を貯湯槽に集め、複数世帯で共有する。
また地中熱の有効利用して空調の省エネ化も行う。さらに地域一括受電を行い、太陽光発電システムの出力変動については街区共有の蓄電池に吸収する。CEMS(地域エネルギーマネジメントシステム)とHEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)を活用し街区での最適なエネルギー利用を実現していく。
関連記事
- 復興住宅地区に太陽光発電と蓄電池、灯りが消えない街を目指す石巻市で
東日本大震災で最大の被害を受けた宮城県の石巻市がスマートコミュニティの構築計画を着々と進めている。4つの地区を対象に太陽光発電と蓄電池を設置しながら、最先端のエネルギー管理システムで連携させる試みだ。4地区のうち復興住宅地区では、東北電力が太陽光発電所の建設を開始した。 - 東北の8つの市町村がスマートコミュニティ構築へ、9月までに基本計画を策定
岩手、宮城、福島の3県にある8つの市町村が、経済産業省の補助金を受けてスマートコミュニティの構築に動き出す。東芝や富士通などが協力会社として加わり、エネルギー管理システムなどを供給する予定である。 - 大阪の新施設で自動デマンドレスポンス実証、スマートコミュニティの構築へ
大阪府豊中市にある「よみうり文化センター」を建て替えた新たな商業施設に、自動デマンドレスポンスシステムが導入された。関西電力からの電力需要の抑制要請に応じてバックヤード部分の空調を自動調整する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.