希望の光は太陽だった、福島県の居住制限区域で復興資金を生むメガソーラー稼働:太陽光(2/2 ページ)
福島県の川俣町と戸田建設は、両者で共同で推進する「川俣町山木屋地区復興まちづくり」基本計画の最初の1歩となる「川俣町山木屋地区復興メガソーラー発電所」が完成したことを発表した。
復興資金を生み出すメガソーラー
今回、メガソーラーが建設された山木屋地区は居住が制限されている地域であり、同地で行われていた農業などは運営が継続できていない。同メガソーラーはもともとたばこ畑、水田などで使われていた約3.6ヘクタールを、地主の協力を得て活用したものだ。東芝製パネルを8680枚利用し、発電容量はモジュール容量で2.17MW(メガワットW)、PCS(パワーコンディショナー)容量で1.925MWとなる。同メガソーラーは川俣町で初となる。また、事業費の3分の1に「再生可能エネルギー発電設備等導入促進復興支援補助金(半農半エネモデル等推進事業)」を当てており、この補助金を活用したメガソーラーとして全国初となる。
同メガソーラーは川俣町の復興に対して重要な意味を持つ。メガソーラー事業による売電収入を川俣町の復興事業に活用するからだ。同メガソーラーの事業期間は2015年7月24日〜2035年までの20年間となっており、売電価格は32円(税別)となっている。このメガソーラーで得た収入を生かして、居住制限により地域コミュニティが崩壊した山木屋地区に新たなコミュニティを作ろうというのが山木屋地区復興まちづくり基本計画である(図3)。
太陽光を受けメガソーラーで得た売電収入により、コミュニティ施設やデイサービス施設、診療所やレストランなどが入った複合施設を作る。それにより地域の人が集まる場所を作り、徐々に周辺にコア集落を作り出していく。そして、農業振興策などにつなげていく考えだ。
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