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電力自由化は“バラ色の未来”をもたらすわけではない(前編)電力供給サービス(2/3 ページ)

電力自由化により、電気事業者はもうかり、消費者は安い電気代を選べる――。そんなバラ色の将来像は夢物語に終わるかもしれない。グローバルでエネルギー事業を展開するシーメンスは、電力システム改革における今後の展望と課題について解説した。

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分散型エネルギーシステム

 再生可能エネルギーによる発電量が増えたことや、スマートグリッドなどICTの活用で、多くの発電状況がコントロールできるようになったことで、分散型エネルギーシステムの普及が広がりを見せている。従来のように一括で発電して送電するという状況ではなく、電力においても双方向性が生まれているといえる(図2)(図3)。デイビス氏は「これまでの電力市場の状況とは全く異なり、分散化はゲームチェンジャーであるといえる。各地域で電力を地産池消し、必要があればグリッドから電力の供給を受けるような状況になっていく」と述べている。

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図2 分散型エネルギーシステムの各国でのシェア(クリックで拡大)出典:シーメンス
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図3 分散型エネルギーシステムのイメージ図(クリックで拡大)出典:シーメンス

クロスオーバー(複合的)エネルギー

 再生可能エネルギーが発電の変動が大きく発電量のコントロールが難しいことから注目されているのが、電力を「エネルギーの1つの形」と捉え、水素など他の形で貯蔵するクロスオーバー化である。バランスの取れたエネルギーシステムには柔軟性が必須であり、余剰電力を他の形態でため、電力のピーク時にこれを変換して電力に戻して使うことが必要だ(図4)。

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図4 電力需要の変動から見たクロスオーバー化の活用イメージ(クリックで拡大)出典:シーメンス

 余剰電力の蓄積といえば、すぐに蓄電池が思い浮かぶが、最近では余剰電力から水素を生み出して貯蔵するPower to Gasなども注目を集めている(図5)。

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図5 PEM水電解槽テクノロジーの例(クリックで拡大)出典:シーメンス

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