スマートな工業団地は実現可能か、山梨県で実用化調査を開始:スマートシティ
山梨県とNECは共同で、地産エネルギーを地域内で最適利用するスマート工業団地の実用化に向けた調査をNECファシリティーズと連携して開始する。
調査を行うのは、NECプラットフォームズの事業拠点を含む山梨県甲府市の甲府南部工業団地。NECと山梨県はこの共同調査を通じて地域社会における産業創造や安全・安心確保などに貢献することを目指す。
今回の調査は、安価に地産エネルギーを地域内で最大活用するため、蓄電池を利用したエネルギーマネジメントシステムの導入や、エネルギー調達・設備管理の最適化、災害時のエネルギー供給安定化等が目的となる。
具体的には太陽光や水力などの地産エネルギーをICTの活用により工業団地の事業者への安価で自立したエネルギー供給の実現可能性や、設備の最適な運用方法を含めた地域全体のエネルギーマネジメントシステムの実現可能性、事業採算性や地域エネルギー事業体などを踏まえた実施体制を検討する(図1)。
調査内容は以下の7点だ。
- 対象エリアの設定
- 需要の把握
- 供給力確保の可能性の把握
- ビジネスモデル・エネルギーマネジメントシステムの検討
- 事業採算性の検証
- 実施体制の検討
- 事業化展開方策の検討
現在、山梨県は基幹産業発展や大規模災害の対策などのために自立したエネルギーインフラの確保、地域資源を活用した地域創生を実現する地域内経済循環を推進している。また「ダイナミックやまなし」による基本戦略の実践に当たり、2015年6月公表の山梨県総合計画(暫定計画)を制定。この計画ではスマート工業団地の整備の推進、やまなしエネルギービジョン(仮称)の策定、小水力発電の推進、県内企業への安価な電力供給、リニア環境未来都市への自立・分散型エネルギーシステムの導入の関連施策の展開を予定している。
なお、本調査は経済産業省の外郭団体である新エネルギー導入促進協議会の「平成26年度 地産地消型再生可能エネルギー面的利用等推進事業費補助金(事業化可能性調査)」に採択されている。
関連記事
- 復興住宅地区に太陽光発電と蓄電池、灯りが消えない街を目指す石巻市で
東日本大震災で最大の被害を受けた宮城県の石巻市がスマートコミュニティの構築計画を着々と進めている。4つの地区を対象に太陽光発電と蓄電池を設置しながら、最先端のエネルギー管理システムで連携させる試みだ。4地区のうち復興住宅地区では、東北電力が太陽光発電所の建設を開始した。 - スマートコミュニティで地方創生、エネルギーの持続可能な地産地消へ
岐阜県東部に位置する瑞浪市で、スマートコミュニティを活用した地域経済の活性化プロジェクトが進んでいる。分散型エネルギーシステム・サービスを導入することで、低層住宅地をスマートコミュニティとして再構築する。競争力のある住宅地の整備することで、瑞浪市の定住人口の増加を図り、市の地方創生に寄与する狙いだ。 - 火力発電の炭素排出をスマートコミュニティで下げる、那覇市で事業調査開始
那覇市で低炭素化などを目指したスマートコミュニティ構築に向けた取り組みがスタートする。那覇市は経済産業省の「平成26年度地産地消型再生可能エネルギー面的利用等推進事業費補助金(構想普及支援事業)」に参画し、コープおきなわ、エプコ スマートエネルギーカンパニー、沖縄ガスが事業者として採択された。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.