燃料電池フォークリフトを卸売市場に、産業車両も水素で動く:スマートシティ
山口県周南市は2015年4月に「周南市水素利活用計画」を策定して、水素エネルギーの「地産地消」を実現する街づくりに取り組んでいる。豊田自動織機は同年10月からこの計画の一環として周南市が地方卸売市場青果市場で行う燃料電池フォークリフトの実証実験に参加する。
豊田自動織機は2015年10月から山口県周南市の地方卸売市場青果市場で同市が行う燃料電池フォークリフト(FCフォークリフト)の実証実験に参加する。実証期間は2017年3月まで。
周南市では、周南コンビナートから発生する副生水素の利活用方策などをとりまとめた「周南市水素利活用計画」を2015年4月に策定し、水素エネルギーの「地産地消」を実現する街づくりに取り組んでいる(図1)。水素の製造から輸送・貯蔵、利活用までの一貫した水素サプライチェーンを構築する計画で、豊田自動織機も「周南市水素利活用協議会」に参画しており、低炭素社会実現に向け、FCフォークリフトの普及促進の取り組みを進めていく。
FCフォークリフトは、エンジンフォークリフトに比べ、稼働時にCO2や環境負荷物質を排出しない優れた環境性能をもつ。また約3分で燃料充填(じゅうてん)を行い、充電や電池交換なしで連続稼働が可能なことから、電動フォークリフトと比較して稼働効率を向上できるメリットがある。
物流現場では工場、空港、さらに市場などは、フォークリフトの使用台数が多く、稼働率も高いことから、FCフォークリフトの導入による環境負荷低減効果および作業性の改善効果が高いと予測される。
豊田自動織機はこれまでで豊田合成北九州工場(2012年12月〜2014年3月)、関西国際空港(2015年2月から)でFCフォークリフトの導入に向けた実証実験を進めてきてきた。今回の周南市地方卸売市場では、FCフォークリフト1台を用いて、工場および空港とは異なる使用条件下における「Well to Wheel(燃料原料採掘段階から稼働段階まで)」でのCO2削減効果や、作業性の改善効果の検証を行う。
同社は「今後も産業車両のトップメーカーとして、エンジンフォークリフト、電動フォークリフトの商品力向上はもとより、高い環境性能と経済性を両立する次世代フォークリフトの早期の実用化に向けて、研究開発に取り組んでいく」としている。
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