明日の発電量が分かる、太陽光発電量予測サービスが登場:太陽光
太陽光発電は天候や時刻、季節によって発電量が左右されてしまう。三菱電機インフォメーションシステムズは、三重県桑名市で進められている「大規模HEMS情報基盤整備事業」を活用した実証事業において、太陽光発電の発電量予測サービスの提供を開始。一般家庭における電力利用や需給計画の最適化に活用する。
三菱電機グループのIT事業の中核企業である三菱電機インフォメーションシステムズ(MDIS)は、三重県桑名市で進められている「大規模HEMS情報基盤整備事業」を活用した実証事業に参画し、太陽光発電(PV)の発電量予測サービスを開始した。
発電量の予測データはHEMSデータ利活用事業者を通じ、一般家庭向けに提供する。この取り組みの第1弾として、事業者のSassor(サッソー)の「電力見える化・節電アドバイスサービス」において、2015年10月1日から三重県桑名市、四日市市と愛知県春日井市を対象に予測データの提供を開始した(図1)。
普及が進んでいる太陽光発電は天候や時刻、季節によって発電量が左右されてしまう。翌日のPV発電量を予測しサービス事業者に提供することができれば、PVを利用する一般家庭への情報提供などを通じて電力利用の最適化を図れるといった効果が期待できる。MDISは今回の実証事業を通して、予測の精度向上やサービス事業者に対する利便性の向上を図り、実証事業終了後、大規模HEMS情報基盤整備事業と連携した本格運用を検討する。
サービス事業者の利用想定としては翌日のPV発電量を予測して、この予測に基づいた付加価値サービス(消費者への情報提供や生活パターン指導など)を展開。これにより「消費者の節電意識の向上を図るとともに、売電への喜びを感じてもらう」(MDIS)としている。また、PVの余剰電力を買い取る自治体、地域コミュニティーや事業者で、翌日のPV発電量を予測し、電力の購入も含め他の電源と組み合わせた需給計画を策定。電力調達の最適化への貢献を目指す。
本格運用後の将来構想としてはPVを利用する電力事業者が、PV発電予測を基に発電機での発電計画を立て、PVを組み合わせた電力の安定供給の実現を目標としている。また、PVを自前で持つ自治体、地域コミュニティーや事業者が、PV発電予測を基に電力購入計画を立て、PVと併せた電力を安定利用。さらに蓄電池との連携も検討していく。
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