ようやく太陽光発電が増えてきた、竹を燃料にバイオマス発電も進む:エネルギー列島2015年版(26)京都(3/3 ページ)
かつては再生可能エネルギーに先進的に取り組んだ京都府だが、最近の導入量は伸び悩んでいる。「エネルギー自給・京都」を長期の目標に掲げて、太陽光発電を中心に拡大策に乗り出した。ゴルフ場や工場の跡地でメガソーラーの建設が進み、バイオマス発電も再び広がりを見せる。
社員食堂の廃棄物からバイオガスを作る
宮津市の西側に隣接する京丹後市でもバイオマス発電の取り組みが進んでいる。京都議定書の採択を受けて2003年度に始まった「京都エコエネルギープロジェクト」の一環で、食品廃棄物からバイオガスを生成して発電する設備が2005年に稼働した(図7)。
5基のガスエンジン発電機と1基の燃料電池を組み合わせて、合計で650kWの発電能力がある。発電した電力は施設内で消費して余剰分を売電している。最近は全国各地のごみ焼却施設で廃棄物を利用した発電設備が広がってきたが、バイオガス方式の先がけになったのが京丹後市のプロジェクトだ。現在は民間企業と連携して、発電と同時に食品資源の循環にも取り組んでいる。
隣の大阪府にあるパナソニックの事業所の社員食堂から出る食品廃棄物を受け入れて、発電用のバイオガスを生成する。さらにバイオガスを生成する過程で発生する液体を肥料にして市内の農家100人以上に供給している。この肥料を使って栽培した米をパナソニックの社員食堂に提供して資源を循環させる試みだ。
生ごみを利用するバイオマス発電は京都府内の他の地域にも広がり始めた。南部の木津川市では老朽化した焼却施設を建て替えるにあたって、新しい発電設備を導入する計画だ(図8)。発電方式はガスではなくて、生ごみを焼却した時に生じる廃熱で蒸気タービンを回す一般的な方法を採用した。発電能力は1190kWで、運転開始は2018年10月を予定している。
京都府の再生可能エネルギーは太陽光とバイオマスを中心に弾みがついてきた。「エネルギー自給・京都」が目指すのは、2030年度までに再生可能エネルギーによる発電量を年間で30億kWhに拡大して、府内で消費する電力の2割以上をカバーすることである。国が掲げるエネルギーミックス(電源構成)の目標値22〜24%と同程度だ。京都議定書の採択地としては国の目標を下回るわけにはいかない。
*電子ブックレット「エネルギー列島2015年版 −関西編 Part1−」をダウンロード
2016年版(26)京都:「太陽光発電とバイオマスがCO2を減らす、古都で進む温暖化対策」
2014年版(26)京都:「古都にも再生可能エネルギーを、スマートな町家を起点に普及を図る」
2013年版(26)京都:「京都議定書の誕生の地、伸び悩む再生可能エネルギーを21倍に」
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