太陽光発電の勢いが止まらない、ダムや池もメガソーラーになる:エネルギー列島2015年版(28)兵庫(4/4 ページ)
この1年間に兵庫県の各地で太陽光発電所が続々と運転を開始している。淡路島では発電能力30MW級のメガソーラーが2カ所で稼働した。大きな農業用のため池にも太陽光パネルを浮かべて、水上式のメガソーラーが相次いで動き出した。ダムや道路の斜面にまで太陽光パネルが広がる。
ため池に太陽光パネルを浮かべて発電
兵庫県内には農業用のため池が4万近くあって、全国で最も数が多い。その中でも大きな池の水面を利用して、水上式のメガソーラーが広がってきた。県の南部に隣接する2つの市では、3月から6月にかけて3カ所のため池でメガソーラーが運転を開始した。いずれも京セラグループが建設して運営している。
このうち2カ所は加東市の「西平池」と「東平池」である。発電能力は西平池の水上メガソーラーが1.7MWで(図8)、東平池のほうは少し小さくて1.2MWだ。両方を合わせて1万1000枚の太陽光パネルを水上に並べた。年間の発電量は330万kWhを見込んでいて、900世帯分の電力になる。
太陽光パネルはポリエチレン製の軽量の架台に搭載して、周辺の架台と接続して水面に浮かべる構造だ。この架台の素材は紫外線や腐食に強く、使用後には100%リサイクルすることができる。ため池の水面を太陽光パネルで覆うことによって、水の蒸発を防ぎ、藻類の異常発生を防ぐ効果もある。
もう1カ所のメガソーラーは加西市の「逆池(さかさまいけ)」に建設した(図9)。発電能力は2.3MWで、水上設置型のメガソーラーでは国内で最大の規模になる。合計9000枚の太陽光パネルを浮かべて、800世帯分の電力を供給することができる。太陽光パネルと架台は加東市の2カ所と同じものを使っている。
この3カ所よりも大きなため池が兵庫県内には数多くあり、今後も水上式のメガソーラーを増やせる余地は大きい。兵庫県では固定価格買取制度の対象になる発電設備が急速に拡大している。運転を開始した太陽光発電の規模は全国で第4位になり、風力やバイオマスも着実に増えてきた(図10)。
すでに買取制度の認定を受けた発電設備は運転前のものを含めると270万kWを突破している。これから続々と運転が始まり、兵庫県が2020年度の目標に掲げる155万kWの達成は目前だ。5年後に向けてエネルギーの地産地消が着実に進んでいく。
*電子ブックレット「エネルギー列島2015年版 −関西編 Part2−」をダウンロード
2016年版(28)兵庫:「電再生可能エネルギーを100万kW創出、ため池や水道管でも発電」
2014年版(28)兵庫:「太陽光や風力から潮流発電まで、エネルギーが持続する環境未来島へ」
2013年版(28)兵庫:「ため池や田んぼでも太陽光発電、2020年までに100万kW創出」
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