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関西電力が水力発電強化へ、開発調査を行う「調査所」を3地域に設置:自然エネルギー
関西電力は再生可能エネルギーである水力エネルギーを有効活用し、さらに水力事業の持続的な成長を目指して2015年6月に「水力事業本部」を新設したが、このほど同事業部内に水力開発地点の発掘・調査を行う「水力調査所」を設けた。
関西電力では、これまでの水力開発地点の発掘・調査はエリアを限定せずに実施してきた。今回設けた水力調査所は近畿エリア、北陸エリア、東海エリアにそれぞれ拠点を置き、それぞれの調査所が当該エリアで地域に密着した活動を行うことで開発を詳細、迅速に進める狙いがある。
具体的には近畿水力調査所(大阪市北区)東海水力調査所(名古屋市東区)および北陸水力調査所(富山市)が、それぞれ地元の自治体や他事業者などから有望地点に関する情報を収集する窓口となる。その情報の中から可能性があるのを発掘調査・検討する。その結果を踏まえて同本部が開発実施について判断し、水力調査所が自治体などと開発推進について協議を行う。こうした取り組みで水力事業の新規開発の早期実現を目指す。
水力開発には新規地点の開発の他、河川維持流量を利用した発電(2012年運転開始の大桑野尻発電所、2015年運転開始の出し平発電所など)や引水設備を利用した発電(2018年完成予定の加須川引水発電所)がある。また今後、工業用水、農業用水や上下水道の他、砂防・治山・治水ダムなどの既設インフラを活用した開発も視野に入れている。これらを実現することでエネルギーを通じた地域活性化にもつながることが期待される(図1)。
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