顧客管理に料金計算、電力小売事業に必須のシステムを低コスト一括導入:電力供給サービス
富士通は2016年4月から始まる電力の小売全面自由化に向け、顧客管理や料金管理などの小売事業に必要なシステムをパッケージ化した新製品「FUJITSU Intelligent Society Solution E3CIS」を開発した。同年2月上旬から販売する。
2016年4月から始まる電力の小売全面自由化に向け、各社が新料金プランを続々と発表している。従来は既存電力会社が、それぞれの管轄内の顧客に向けて独占的に小売電力を販売していたが、今後はこうした地域の垣根を越えた顧客獲得競争が加速していく。小売事業者は複数地域における顧客の管理、これらの需要家が利用するさまざまな料金メニューに基づいた料金計算などに対応していく必要がある。
富士通はこれまで電力小売市場に参入する事業者向けに、個別にシステム構築を行ってきた。今回発表したE3CISはこうしたノウハウを基盤に、顧客管理、利用料金の計算や請求・収納などの機能を全てパッケージ化した製品だ。顧客管理から料金回収までの小売電気事業に求められるシステムを、従来より低コストかつ短期間で導入しやすくした(図1)。
E3CISの特徴は3つある。1つが電力託送契約の切り替えを支援する「スイッチング支援システム」、需要家の電力使用量を管理する一般送配電事業者が、こうした情報を小売事業者に提供するための「託送業務システム」との連携機能を標準搭載している点だ。
2つ目が料金計算機能で、「BRMS(ビジネスルールマネジメントシステム)」を採用している。新たに料金メニューを追加・改定したい場合でも、アプリケーションを変更することなく設定変更が行えるため、システム開発費用を抑えることができる。E3CISではRed Hat社のBRMSソフトウェア「Red Hat JBoss BRMS」を採用している。
3つ目はシステムの拡張性だ。E3CISとは別に用意する需要家のWeb加入申込みを可能にするシステムや、収支シミュレーションシステムなどの拡張機能と組み合わせた導入も可能になっている。さらに需給管理システムや他社の収納代行サービスとの連携、E3CISを介して顧客登録や問い合わせ対応などを代行するBPOサービス事業者とのマッチングにも対応する。小売事業者ごとに異なるさまざまな業務形態や、将来の事業拡張にも対応していく狙いだ。
E3CISのパッケージライセンス価格は1260万円、需要家数1万以上から(導入費用は別途個別見積もり)。富士通では今後5年間で売上高100億円を目指すとしている。
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