“行動型デマンドレスポンス”を実現、東京電力が提携する米ベンチャーの実力:電力供給サービス(3/3 ページ)
米Opowerの日本法人オーパワージャパンは「新電力EXPO 2016」に出展し、同社の電力事業者向けの顧客データ分析サービスをアピールした。同社は2007年創業のベンチャー企業だが、現在全世界で98社、米国の上位電力会社の75%がそのサービスを利用しているという。2013年には東京電力との提携も発表している。“行動型デマンドレスポンス”を可能にするという同社のサービスの詳細について取材した。
日本でのサービス展開は?
Opowerのサービスは基本的にスマートメーターで取得した詳細な電力使用量データが必要になる。日本ではまだスマートメーターの設置が進められている段階だ。公家氏は「数年後、日本でも多くの家庭へスマートメーターが設置が進み、さらに日本全体で省エネに向けた規制がより強まっていった場合、大きな需要があると考えている」と述べる。
現在オーパワージャパンでは住環境計画研究所と共同で、北陸電力エリアで2016年度末までをめどにOpowerのサービスを活用した省エネルギー効果の実証も進めている。
また同氏は「電力事業者は今後、氏名、住所といった個人情報に加え、電力使用状況から類推できるその家庭の生活スタイルまでも含んだ、非常に価値の高いデータを手にすることになる。料金プランだけでは差別化が難しくなると見込まれる中で、こうしたデータを解析し、いかに活用して付加価値を提供していくかが各社の競争力の差になっていくと考えている」と述べる。
オーパーワージャパンでは2015年に電通との提携も発表。電力使用状況の分析データを広告事業にも活用していく方針だという。「例えば電力事業者と家電量販店が提携し、われわれが顧客に通知するレポートの中に、その家庭に最適な省エネ家電の情報を掲載する。顧客ははそこから直接その商品を購入できるというようなビジネスモデルも考えられる」(同氏)。
現在日本では東京電力との提携を発表している同社だが、今後は大手小売事業者を中心に他の小売事業者への提案も進めていくという。
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