シェア5%の新電力が4月から供給停止へ、それでも自由化は進む:電力供給サービス(2/2 ページ)
新電力の日本ロジテック協同組合が小売電気事業者の登録申請を取り下げ、4月から電力の供給事業を停止する。同組合は自治体を中心に安い価格の電力を供給してシェアを伸ばし、再生可能エネルギーにも積極的に取り組んでいた。利幅の薄い事業を続けて資金繰りが悪化したものとみられる。
すでに昨年4月に資金繰りが悪化
電気事業者が電力の供給に伴って排出するCO2(二酸化炭素)の実績値を見ると、日本ロジテック協同組合のCO2排出係数は2014年度に0.386kg-CO2/kWh(CO2換算キログラム/キロワット時)で電力会社よりも低い水準だった(図3)。ただし調整後の排出係数は0.552と高くなっている。温室効果ガスの排出量を取引できる「京都メカニズムクレジット」などを大量に扱ったためとみられる。
日本ロジテック協同組合の事業に暗雲が立ち込めたのは2015年5月のことだ。経済産業省が固定価格買取制度による納付金を納めていない事業者として、法律に基づいて日本ロジテック協同組合の名前を公表した。4月30日の期限までに納付金を納めておらず、督促期限の5月11日にも納付しなかったためだ。
これに対して日本ロジテック協同組合は5月18日に支払いを完了したことを発表する文書を作成して取引先に配布した。納付金を滞納した理由として、連休中に電気料金の回収が遅延したことを挙げている。その後は同様の事態を起こしていないものの、2015年4月末の時点から資金繰りが厳しい状況にあったことは間違いない。
今後の最大の課題は、日本ロジテック協同組合が電力を供給してきた需要家の保護である。電力取引監視等委員会は経済産業大臣に対して、需要家保護のために適切な措置を講じるよう求めた。需要家は3月末までに電力会社か新電力と契約を結び直す必要がある。その場合に日本ロジテック協同組合が提供してきた価格を維持することはむずかしく、需要家はコストの増加を避けられない。
いま国を挙げて新しい電力市場の形成に取り組む中で、約1カ月後には小売全面自由化が始まる。その直前になって改革の流れに水を差すような問題が発生したことは残念だ。日本ロジテック協同組合の責任は重い。
とはいえ、従来のまま電力会社に任せておいたほうが安全、というムードが広がることは電力市場の改革に逆行する。すでに200社近くに達した小売電気事業者が万全の体制をとったうえで、電力会社を上回るサービスを提供していく必要がある。対抗する電力会社もネガティブキャンペーンを展開することなく、価格とサービスの競争を続けなくてはならない。
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