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CO2フリーの水素サプライチェーンをどうやって構築するのか、川崎重工の挑戦スマートエネルギーWeek 2016(3/3 ページ)

「水素社会の実現」に向けたさまざまな技術開発が進んでいるが、1つのポイントだと見られているのが、使用する大量の水素をどうやって運ぶのか、という点だ。2016年3月2日に開催された「FC EXPO 2016」の技術セミナーでは、川崎重工業執行役員技術開発本部副本部長原田英一氏が登壇し「水素エネルギーサプライチェーンの実現に向けた川崎重工の取り組み」をテーマに講演した。

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水素バリューチェーンの構築

 今後、この水素バリューチェーンを構築していくためには幾つかの水素インフラの技術展開が必要となってくる。

 まずカギを握るのは大気圧で水素を液化にする水素液化機で、膨張タービンを活用した水素液化機の実現を目指している。液化水素運搬船は真空保持のための特殊ドーム構造でステンレス製真空断熱二重殻、高断熱支持構造などの特徴を持つカーゴタンクなどを用いる計画だ。さらに貯蔵用には現状の産業用液化水素タンクの10倍規模のタンクの開発を進めている。陸上輸送については高圧複合容器搭載圧縮水素輸送トレーラー(日本初)を開発した。水素をオフサイト型水素ステーションに輸送・供給などするもので、FCV52台分の水素を運搬できる。さらに水素ガスタービンの開発にも取り組んでおり、同社の明石工場エネルギーセンター8号発電所で運用を開始した(図3)。

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図3 水素インフラの技術展開(クリックで拡大)出典:川崎重工

 この他、水素の安全性の確立にも取り組み、「水素を漏らさない、検知したらすぐに止める、溜めない、着火させない」をコンセプトに安全設計・対策の実験、シミュレーションを実施し有効な機器構造を決定している。同社では今後の展開として、2020年度にこれら技術の実現性を技術実証して、その後それらの技術をベースに2025年から2030年にかけて商用につなげていくことにしている。

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