10kWの小型風力を系統連系、山形県内で初の事例に:自然エネルギー
再生可能エネルギー関連事業を展開するスマートテック(水戸市)が山形県遊佐町に設置した出力10kW(キロワット)の小形風力発電「XZeres 442SR」が、このほど東北電力との系統連系を完了した。同風力発電は米国XZeres(エグザラス)社製のもので、山形県内では初のFIT制度による小形風力発電の系統連系となるという。
スマートテックが今回設置した「XZeres 442SR」は一般用電気工作物(20kW未満)に該当するため、低圧受電が可能で高圧受変電盤の製作、電気主任技術者の選任、保安規定の届けといった手続きが必要ない(図1)。スマートテックでは「FIT単価が55円/kWh(キロワット時)で、安定的な分散型電源としての利用価値が高いことから、投資目的としても適した製品」と評価している。
なお、米国で株式市場に上場しているXZeres社は、小型風力エネルギー・システムの設計・製造、販売を手掛ける企業で、世界で9000機を超える設置実績がある。日本で設備認定申請されている小型風力約400件のうち、約過半数に同社の製品が採用されているという。
現在スマートテックは合計68件の風力発電の設備認定を申請している。今後、北海道、東北、中部、九州地方をはじめとして日本各地での系統連系を進め、2016年度内に200件の設置を計画している。
同社は、2011年3月の東日本大震災以降、太陽光のEPCサービスを中心とした事業を展開してきた。また、2016年4月に開始する電力の小売全面自由化を前に、水戸市に地域の新電力会社「水戸電力」を設立し、その経験やノウハウをもとに、「九州スポーツ電力」(福岡市)などの設立・運営支援にも携わっている(関連記事)。
スマートテックでは風力発電を夜間も継続的に発電する再生可能エネルギーとして、昼間活発化する太陽光発電と相補的に地域の分散型電源の普及を促進する効果があると考え、その設置を積極的に展開していく方針だ。
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